スーパーコンピュータで異常気象に挑む!
異常気象の原因になる雲
ゲリラ豪雨やスーパー台風、竜巻、大雪など、私たちがこれまで経験したことのない異常気象が問題になっています。このような気象は、多くの場合、積乱雲が原因となって起こります。
積乱雲は、下層が非常に湿った状態、すなわち大気の状態が不安定なときに発生します。例えば寒冷前線などの暖かい空気と冷たい空気がぶつかるところで発生します。このようなところでは地表の暖かい空気が浮力を得て上昇気流が生じ、空気に含まれる水蒸気が雲粒に変わるとき、空気を暖めて、さらに浮力が大きくなり、上昇流が強くなります。そして、むくむくと鉛直方向に発達して積乱雲となるのです。巨大な積乱雲は高度15kmにも達し、その上昇流は40メートル毎秒を超えるほど強いものになります。この強い上昇流が大雨、雹、竜巻、雷などの激しい現象を作り出します。
台風を知るためには観測が必要
台風は、積乱雲が集団化したものです。台風の目の中に雲はありませんが、縁のところは積乱雲が壁のように周りを取り囲んでいます。その壁のすぐ外側は、とても強い風が吹いています。
台風の雲の中はどんな様子でしょうか。顕微鏡を搭載した特殊な気球を飛ばして、台風の雲粒子を観測したりしています。雲粒子の形や成長速度、量によって雨の降り方が変わってくるため、観測は重要です。観測結果は、しばしば予想を覆すことがあるので、このような観測によって実際の台風の構造を明らかにしていくことが重要です。
豪雨や竜巻、台風をシミュレーションする
観測で得られたデータや地形、温度や湿度、風向き・風速などをもとに、スーパーコンピュータでシミュレーションを行い、異常気象を予測しようという取り組みが行われています。従来の気象予測では、集中豪雨など局地的な天気の予測は困難でした。そこでコンピュータ内で積乱雲の様子を計算し、約1キロ四方の精度で豪雨や竜巻、台風の強さを予測する計算モデルが開発されているのです。実用化すれば、防災や減災に大きく貢献することでしょう。
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