世界中の雷をキャッチ 宇宙や地球の環境予測も可能にする電磁波研究
電気と磁気の両方の性質を持つ電磁波
電磁波とは、電気と磁気がお互いに協力し振動を繰り返しながら進む波のことです。電磁波は目には見えませんが、実は電化製品からだけではなく、自然から出ている電磁波も多数飛び交っています。
代表的なのは雷で、コンピュータを壊してしまうほど強い電磁波を放出しています。放射線や光も電磁波の一種で、宇宙はありとあらゆる電磁波が飛び交う「宝庫」です。宇宙では衛星や国際宇宙ステーションに観測機器を設置し、地球周辺の電磁環境や中間圏発光現象(レッド・スプライト)の観測などを行うほか、太陽活動の影響で通信やGPSの障害を予測する「宇宙天気予報」の研究も進められています。また、地上では国内はもちろん海外にも多くの観測点を設置して連続して観測を実施しています。
北海道でアフリカの雷をキャッチする?
電磁波の特徴としては、一瞬にして遠くまで届く「遠隔性」があげられます。そのため離れた場所にいても発生源の情報を得ることが可能です。ある特定の低周波の電波を観測すると地球上すべての大きな雷さえ観測できます。例えば北海道の観測所でアフリカの雷からの電磁波をとらえることもでき、世界中の雷マップを作りあげることもできるのです。またリアルタイムでの観測なので、集中豪雨など急激な天候変化の監視や予測につなげていくことも期待されています。
異常気象や地震の予測に生かして社会貢献を
ある自然現象が起きる前には事前に何らかの予兆が存在する場合があります。電磁波の観測には予兆をとらえる「先行性」という側面もあり、竜巻やダウンバーストなどの突風、集中豪雨、地震などの予測へつなげることも期待されています。例えば突風の発生前に雷の総数(トータル雷)の顕著な増加が確認されています。国内外各地に出かけて行けたり、社会に貢献できる学問です。
また宇宙から地中まで観測範囲が及ぶ、学問としてのスケールの大きさはもちろん、世界的な規模で国際共同研究が多く行われており、人間的なスケールも広がっていくのも大きな特徴です。
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先生情報 / 大学情報
電気通信大学 情報理工学域 II類(融合系) 電子情報学プログラム 教授 芳原 容英 先生
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