講義No.11272 地球科学

異常気象に挑む! 気象学の重要性

異常気象に挑む! 気象学の重要性

天気予報を支える気象学

出かける前、傘が必要かどうかを判断したり、レジャーの計画を立てたりする際、テレビやネットで天気予報を確認するでしょう。「晴れのち曇り」「ところにより雨」など、わかりやすい言葉で伝えてくれる天気予報ですが、その日の何時間も先、週間予報では何日も先の天気が予測できるのはなぜでしょうか。また、そもそも高気圧や低気圧が発生するのはなぜでしょうか。地球上で起きているさまざまな自然現象をもとに気象を考察・予測するのが、「気象学」という学問分野です。

天気は物理の法則に従う

地表や海面が受け取った太陽光のエネルギー、気温や水温、海流や偏西風など、天気を左右する要因は多岐にわたります。ただ、それらの要因によって発現する大気現象は、すべて力学や熱力学など物理の法則に従っていて、気象庁でもそれらの数値を「予報方程式」に当てはめ、必要なデータを算出しています。風の向きや強さ、気温や海水温度などは刻々と変化するので、算出されたデータは一定時間ごとに更新され、より正確な気象予測を行うためのデータが作られ続けています。

気象学の進歩が生活の安全を守る

近年、豪雨被害が多発しています。そのような災害をもたらす豪雨は、複数の積乱雲が列を作ったように並ぶ「線状降水帯」によるものです。上空で強い風が吹いている時に積乱雲が発生すると、流されながら雨を降らせ、その後にまた、新しい積乱雲が発生するという線状降水帯のメカニズムはわかっています。しかし、最初の積乱雲がどこに発生するのか、なぜ同じ地域で積乱雲が繰り返し発生するのかといった詳細については、まだ解明されていません。それ以外にも、竜巻、突風など激しい大気現象についても、未解明な部分が数多く残されています。
地球温暖化によって気温や海水の温度は確実に上昇しており、異常気象が発生する確率も今後ますます高くなるでしょう。気象学の研究は、私たちの生活や国土の安全性を守る上でも非常に重要なのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

新潟大学 理学部 理学科 教授 本田 明治 先生

新潟大学 理学部 理学科 教授 本田 明治 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

気象学、地球物理学、地球科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校時代は、一生のうちでも特に吸収力が大きい時期だと思います。だからこそ、今の時期を有効活用してください。特に、理学系の大学・学部への進学を検討しているなら、日頃から、身の回りの自然現象に親しみや関心を持っておくと、大学での学びに役立つはずです。
理学は、わかりやすく言うと、地球で起きているあらゆる自然現象の仕組みを理解する学問です。私の講義でも、学生がスマホで撮影した空の写真を題材にすることがあります。空を眺めることが勉強になると聞くと、何だか楽しそうだと思いませんか。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

新潟大学に関心を持ったあなたは

新潟大学は教育面を最も重視し、学生が自らの専門を深く極めるばかりでなく、広い視野をもち、物事を総合的に判断する力を身につけること、及び実践と体験を通したきめ細かい教育を行うことによって、学生一人一人の個性を伸ばすことを目指しています。さらに、教養教育と専門教育を融合させた教育プログラムを提供し、特定の課題・分野の学習成果を認証したり、異なる学部の学生と教職員で構成されるグループが地域住民とのふれあいを通じて人間的成長を目指すなど、本学の理念である「自立と創生」に基づく学生育成を実践しています。