異常気象に挑む! 気象学の重要性
天気予報を支える気象学
出かける前、傘が必要かどうかを判断したり、レジャーの計画を立てたりする際、テレビやネットで天気予報を確認するでしょう。「晴れのち曇り」「ところにより雨」など、わかりやすい言葉で伝えてくれる天気予報ですが、その日の何時間も先、週間予報では何日も先の天気が予測できるのはなぜでしょうか。また、そもそも高気圧や低気圧が発生するのはなぜでしょうか。地球上で起きているさまざまな自然現象をもとに気象を考察・予測するのが、「気象学」という学問分野です。
天気は物理の法則に従う
地表や海面が受け取った太陽光のエネルギー、気温や水温、海流や偏西風など、天気を左右する要因は多岐にわたります。ただ、それらの要因によって発現する大気現象は、すべて力学や熱力学など物理の法則に従っていて、気象庁でもそれらの数値を「予報方程式」に当てはめ、必要なデータを算出しています。風の向きや強さ、気温や海水温度などは刻々と変化するので、算出されたデータは一定時間ごとに更新され、より正確な気象予測を行うためのデータが作られ続けています。
気象学の進歩が生活の安全を守る
近年、豪雨被害が多発しています。そのような災害をもたらす豪雨は、複数の積乱雲が列を作ったように並ぶ「線状降水帯」によるものです。上空で強い風が吹いている時に積乱雲が発生すると、流されながら雨を降らせ、その後にまた、新しい積乱雲が発生するという線状降水帯のメカニズムはわかっています。しかし、最初の積乱雲がどこに発生するのか、なぜ同じ地域で積乱雲が繰り返し発生するのかといった詳細については、まだ解明されていません。それ以外にも、竜巻、突風など激しい大気現象についても、未解明な部分が数多く残されています。
地球温暖化によって気温や海水の温度は確実に上昇しており、異常気象が発生する確率も今後ますます高くなるでしょう。気象学の研究は、私たちの生活や国土の安全性を守る上でも非常に重要なのです。
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先生情報 / 大学情報
新潟大学 理学部 理学科 教授 本田 明治 先生
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