英語を通して「何か」を学ぶことで、世界が広がる
日本の英語教育に大きな変化が
外国では英語の授業を英語で教えるのが一般的ですが、日本では日本語で教えるのが長い間、普通の光景となっています。1970年代から世界的に提唱されていたコミュニケーション主体の英語教育も、かけ声の割には根付いてきませんでした。
近年、そうした流れが大きく変わってきつつあります。主体的な学びを指向する「アクティブ・ラーニング」が授業に取り入れられるようになりました。また今後、中学・高校で「英語で」授業ができる教員の養成をどう進めていくかが、大学の英語教育や英語教員養成でも大きな課題となっています。
言語の習得には一生かかる
実は、母語以外の言語を学び、習得することは、一生かけて培っていく能力といえます。子どもの頃に外国語を学び始めても、途中でやめれば使えなくなります。母語でも、社会人になってから読み書きの機会を減らせば、言葉を使う能力が落ちるのと同じです。
自分の考えを言葉に乗せるには、思える力や判断し意思決定していく力が不可欠です。言葉を使う能力の獲得とは、長い時間をかけた中身の濃いインプットを咀嚼(そしゃく)して自分のものとし、アウトプットを創り出していく、終わりのないマラソンのようなものです。
英語を通してコンテンツを学ぶ
大事なのは、英語そのものを学ぶことから、「英語を通して興味ある分野を学ぶ」ことへの切り替えです。英語で書かれた内容を理解するために自分の英語力をフル稼働させることが必要になります。それが使える英語なのです。英語を道具として、例えば「英語で論じられた日本」といったコンテンツを学ぶことで、世界が広がります。
また、外国語で何かを理解し学ぶことは、母語の高度な言語運用能力を身につけるという観点からも注目されています。英語で書かれた本を読んで、どのように論理が組み立てられているかがわかれば、それを応用して内容理解を深めたり、自分の考えを伝えたりする時の順序も見えてきます。英語を学ぶことは、どこででも使える汎用的な能力獲得への第一歩でもあるのです。
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先生情報 / 大学情報
高知県立大学 文化学部 文化学科 教授 五百藏 高浩 先生
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