子どもの健康課題の多様化で、求められる養護教諭の力とは?
役割が増す「保健室の先生」
養護教諭とは、小中学校には配置しなくてはならないと文部科学省が定めている「保健室の先生」です。高校での配置は任意ですが、養護教諭を配置する学校が増えています。
養護教諭のはじまりは明治時代までさかのぼり、当時は感染症の予防や、栄養指導などが主な仕事でした。現代ではけがの応急処置や健康観察のほかに、食物アレルギーへの配慮や、心の不調に対するケアなども重要な仕事です。スマートフォンの使い過ぎによる睡眠の乱れなど、大人と同じような生活習慣に関連した悩みも見られており、子どもたちの健康課題の多様化とともに養護教諭の役割は増しています。
看護師資格を持つ養護教諭
インクルーシブ教育の普及により、人工呼吸器やインスリン注射などの日常的な医療ケアを必要とする子どもたちが、地域の学校に通うことも増えています。保健室が学校において重要な場所となるなかで、注目されているのが「看護師の資格を持った養護教諭」の存在です。
学校で子どもたちの体の健康、そして心の健康を見守り、必要に応じて担任やスクールカウンセラー等と連携しながら医療機関や専門識者へとつなぐのも、養護教諭の役目です。学校になじめずに保健室を訪れる子どもの背景にはさまざまな要因があり、専門的な支援につなぐケースもあります。子どもの家族や家庭、地域の健康課題と広い視野で見る力が求められます。また、看護や病気に関する知識があると役立ちます。
養護教諭自身の手応え
養護教諭になるにはさまざまな道があり、看護大学でも養成が行われています。看護師の資格を持つ養護教諭にアンケートを行ったところ、「病気やけがの対応に自信が持てる」「言葉で症状を伝えることが難しい低学年の場合でも、血圧などのバイタルサインから健康状態を把握することができた」など、看護の知識が役立つ具体的な場面が報告されました。学校では今後、看護師の資格を持つ養護教諭がますます求められていくでしょう。
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