卵アレルギーになるのはなぜ? ~栄養学からのアプローチ~
子どもに多い卵アレルギー
日本人(全年齢)の食物アレルギーの原因として主なものは、卵、乳製品、小麦です。中でも、卵アレルギーが最も多く、約4割にのぼります。症状としては、皮膚にかゆみや湿疹(しっしん)が出たり、嘔吐や下痢を起こしたり、呼吸が苦しくなったり、重症になると、「アナフィラキシー」という意識障がいや血圧の急激な低下などのショック状態を起こして、命にかかわることもあるのです。卵アレルギーは特に、消化吸収能力が発達していない乳幼児に多くみられますが、成長するにつれ症状を起こさなくなる場合がほとんどです。
食物アレルギーが起きる仕組み
卵アレルギーはなぜ起きるのでしょうか? 私たちの身体には、病原体や毒素などの異物を攻撃し、身体を守る「免疫」が備わっています。食物アレルギーは、ある食べ物を摂取したときに、免疫が過剰に働いてしまうことで引き起こされます。原因は、食物に含まれるタンパク質です。卵アレルギーの場合、オボアルブミン、オボムコイドなどのタンパク質が原因物質(アレルゲン)になります。それらが体内で異物と認識され、「IgE抗体」が作られると、それがアレルゲンと結合した際に、細胞からアレルギー症状を起こす化学物質が放出されるのです。
アレルギーにならない人との違いを探る
不思議なことに、血液中のIgE抗体が高いからといってアレルギー症状が重いとは限りません。きょうだいで同じ食事をしていても、アレルギーが出る人と出ない人もいます。これらの違いがでる理由はよくわかっていませんが、栄養価の高い卵はいろいろな食品に含まれるため、卵アレルギーを持つ人が誤って食べないように、食品に使用した際の表示が法律で義務づけられています。
卵アレルギーに特効薬はなく、医師の指導のもと、IgE抗体価や症状の程度を見極めつつ、その子に合わせて、徐々に身体を慣らすしか今のところ改善策はありません。メカニズムを解明することで、増え続ける現代人の食物アレルギー自体に歯止めをかける方法も見つかるかもしれません。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
高知県立大学 健康栄養学部 健康栄養学科 准教授 鈴木 麻希子 先生
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