筋肉だけじゃない! 病気の予防にもつながる筋トレの効果
スレンダーでも「隠れ肥満」に要注意!
見た目はスレンダーで体重も重くない若い女性の、体の中身(=身体組成)をしらべてみると実は肥満だった、ということがあります。これはダイエットの繰り返しや運動不足などが原因で筋肉や骨が減少し、相対的に体に占める脂肪の量が多くなっている状態で、「隠れ肥満」と呼ばれています。
「隠れ肥満」の人は、身長と体重のバランスが良いため、学校の健康診断では見過ごされてしまいがちです。しかし、筋肉の減少は糖の代謝を悪化させたり、骨の減少は骨粗しょう症などの病気のリスクを高めます。このため、最近では学校現場においても、養護教諭が子どもたちの体の中身(=身体組成)に着目して、健康管理や保健指導を行うようになっています。
ダイエットしたいなら体重減より筋肉増を
ダイエット=体重を減らすと思いがちですが、体重計の目盛りに一喜一憂して、筋肉を減らしてしまうと、リバウンドしやすく、かえって太りやすい体になります。さらにリバウンドを繰り返す「ウエイト・サイクリング」という状態に陥ってしまうと代謝が低下し、血圧上昇を招くなど、悪影響をもたらすこともわかっています。ダイエットをするなら、筋肉量をアップさせ余分な脂肪を燃焼させる方法が有効です。特に、スクワットや腕立てふせなどをゆっくりと行うスロー筋トレは、筋肉量を増やし太りにくい体をつくります。若い女性を対象にした研究で、スロー筋トレは有酸素運動のウォーキングよりも内臓脂肪・皮下脂肪の減少、筋肉量の増加が見られたというデータも出ています。
筋肉から分泌される注目の「マイオカイン」
筋トレの効果が現れるのは、筋肉だけではありません。筋肉に刺激を与えると「マイオカイン」の分泌が高まります。「マイオカイン」とは筋肉から出るさまざまな物質の総称で、脳細胞を活性させたり、肥満や糖尿病、大腸がんといった病気の予防につながるものも見つかっています。マイオカインはホットな研究分野であることから、筋トレの効果にさらに注目が集まっています。
参考資料
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
東海学園大学 教育学部 教育学科 教授 梶岡 多恵子 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
学校保健学、健康教育学、公衆衛生学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?