音楽には子どもの心を育む力がある
保育環境の中の音楽
幼児教育は、学校で文字や計算を教えるのとは違い、環境を通して行われます。「教わる」のではなく、環境によって子どもたちが自分で「気づく」ことが重要だと考えます。そこで、保育者(保育者も人的環境です)は環境を整えることに心を砕きます。
保育環境の中で、音楽や音は非常に重要な位置を占めます。保育の中では一日中音楽が流れています。音楽は楽しく、友だちや保育者と気持ちがつながる心地よいものです。音楽は子どもの情緒の育ちに大きな影響を与えるものなのです。また、保育者の歌うような話し言葉(マザリーズ)も、言葉と歌の中間、あるいは歌の前段階ととらえられる重要なものです。
実は大きな「手遊び歌」の力
子どもは、とても感性が鋭く想像力が豊かです。あなたは「とんとんとんとんひげじいさん」という手遊びをしたことがありますか? この手遊びは大人からみれば、その魅力はわかりづらいかもしれませんが、「とんとんとんとん」と歌うことが呪文のような働きをして、子どもには手が本当にひげになったり、こぶになったりするように思えてくるのです。また、子どもが大好きな「繰り返しと変化」、「予測と意外」など、子どもの心をよく理解して作られた手遊び歌は子どもの想像力を刺激し、教育的にも価値があります。
保育者もアーティストに
子どもの遊びはアートそのものです。子どもは絵を描きながら歌を歌います。このとき、絵を描くことと歌うことの間に壁はありません。また、ごっこ遊びがお芝居になるなど、遊びは自由に発展していきます。乳幼児期は、その自由な活動をすべて認めることが大切です。そして保育者にも、それを受け止めるだけの感性が求められます。これはなかなか難しいことですが、人の前で発表することを繰り返すことで徐々に殻を破れるようになります。
実践と経験を積み、音楽を大事なものとして子どもたちとやりとりできるようになると、その保育の場面は感動的ですらあり、子どもたちの情緒の発達を大きく促すものとなるのです。
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先生情報 / 大学情報
高崎健康福祉大学 人間発達学部 子ども教育学科 教授 岡本 拡子 先生
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