スポーツをする人のための栄養学
食事はアスリートの作戦の一つ
栄養学の新しいジャンルに「スポーツ栄養学」があります。これは、スポーツをよりよくするために(強くなるために)栄養学を活用することにほかなりません。いわばスポーツをする人の「食事戦略」です。
スポーツをする人のための「食事戦略」には2つの要素があります。一つは「体づくり」、もう一つは「試合に勝つためのエネルギー摂取方法」です。
それぞれの競技にふさわしい体をつくる
「体づくり」とは、それぞれのスポーツにふさわしい体をつくるための栄養学です。スポーツは競技の種類によって、求められる運動能力や身体の状態に違いがあります。マラソンのように持久的な運動能力が必要なものもあれば、短距離走のように瞬発力が求められるものもあります。また、階級別競技といって、体重を一定範囲に抑えなければいけない競技もありますし、美しさが問われる競技もあります。したがって、それぞれのスポーツ選手に必要な筋肉量や持久力をつけるためには、どのくらいのタンパク質や炭水化物が必要なのか、そのためには何をどのくらい、どのような食べ方で摂取したらよいのかを探求することが求められるのです。
最大限に力を発揮するための食事の仕方とは
もう一つの「試合に勝つためのエネルギー摂取方法」は、試合当日にコンディションをピークにもっていくための食事の摂り方であり、また1日に数試合をしなければいけない競技の場合は、効率的なエネルギー補給の仕方を指します。
例えば、卓球などは1日に4~5試合もこなさなければいけない時があります。試合で消耗したエネルギーを急いで補給しなければいけないのですが、次の試合まで1時間しかない時と、3~4時間ある時ではふさわしいエネルギー補給の仕方が違ってきます。試合開始のホイッスルが鳴った時に、食べたものがエネルギーに変わっていて、最大限に力が発揮できる状態になっていること、これは勝つための必須条件であり、「スポーツ栄養学」はこのテーマに応える学問なのです。
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先生情報 / 大学情報
高崎健康福祉大学 健康福祉学部 健康栄養学科 教授 木村 典代 先生
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