音楽と体を使って子どもを育てる! リトミック教育の可能性
体と音楽を結びつける
音楽を聴き、体を動かして表現する教育方法は「リトミック」と呼ばれています。体を動かすと、音楽への理解も定着しやすくなります。例えば「ド」の音が聞こえたら膝をぽんとたたき、「ソ」が聞こえたら肩をたたくなど、音の高さと体の位置を結びつけます。すると音の高低がイメージしやすくなり、伴奏がなくても体をたたきながら正しい音を出せるようになるのです。こうしたリトミックの手法は音楽教育だけでなく、保育や幼児教育にも取り入れられています。
子どもを育てる音楽の力
子どもたちは、「体を動かす」「きれいな絵を見る」など、さまざまな体験を通して成長していきます。音楽もそんな体験のひとつです。例えば子ども向けの曲はテンポが速く、元気なものが多いです。そこで子どもたちに日常生活ではなかなか触れる機会のないゆっくりとしたテンポの曲や、静かな曲を聴かせます。さらに曲に合わせてそっと動いてみるなどの身体活動を組み合わせれば、子どもたちは落ち着いた気持ちを体感でき、自分の動きや心をコントロールできるようになります。
リトミックの可能性
リトミックは大正時代に日本に導入されて100年以上が経過していますが、きちんと教えられる教員はまだまだ少ないのが現状です。子どもたちと歌って手をたたいたとしても、その先の展開がわからない教員が多く見られます。ここでリトミックのメソッド(手法)を知っていれば、音楽を使ってできる教育の幅が広がるかもしれません。例えば、曲の途中でピアノの演奏をやめてみます。ピアノをやめても手をたたいたり歌ったりし続けている子がいれば、まだ周囲に目を向けることが苦手なのだと把握できます。それでも何度かくり返すうちに周りの様子を見ることを覚え、どうするべきか自分で考えられるようになるのです。
このような事例やリトミックのメソッドを研究者が現場に紹介することで、音楽を通して子どもたちの人間性を伸ばすような教育が発展していくと考えられます。
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先生情報 / 大学情報
立正大学 社会福祉学部 子ども教育福祉学科 教授(学部長) 板野 晴子 先生
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