講義No.06373 教育

生徒の「想像力」「独創性」を育む授業を設計する

生徒の「想像力」「独創性」を育む授業を設計する

新たな教育方法が求められている現代

これまで、日本の教育は文部科学省が定めている教育指導要領のもと画一的におこなわれ、その結果、知識の詰め込みだけが偏重され、想像力や独創性が欠如する生徒が生まれると危惧されてきました。しかし、グローバル化が進み、さらに日本社会が成熟し、価値の多元化が進む中で、これまでの教育手法では21世紀は立ち行かないという気運が生まれています。そこで、今までの既成の概念にとらわれない、カードを用いてランキングするなど新たな教育方法が求められています。

教科を飛び越えて多角的に調べ・学ぶ

新たな教育方法では、これまでのように教師から受け身的に授業を受けるのではなく、教科の枠組みを飛び越えて自発的に仲間と学びあうことに重点が置かれています。
高校の教育現場ではすでにオリジナリティあふれる取り組みが始まっています。例えば「水」というテーマで学ぶなら、降雨量の少ないアフリカで植林をしている人に話を聞く、川に出かけて生態系を調べる、川の水の成分を調べる、など多角的に水について深く掘り下げます。これまでは、植林の仕事の話を聞くのは地理、川の生態系を調べるのは生物、水の成分を調べるのは化学の授業でおこなわれることでした。しかし、水について総合的に調べ、生徒同士がディスカッションして疑問点を解き明かすことで、より深く考える力がつき、新たな発想力を生むことになります。

教育「設計」「評価」の研究が必要

既成の枠組みに縛られない授業を「設計」することも難しいのですが、こうした授業が生徒たちにどんな効果をもたらすかを「評価」することはさらに難しいものです。テストの採点をするようなことはできません。「評価」の手法として、生徒たちに、何を学び、何に興味を持ったかなどを文章で書かせる、図やマップを協力して描かせる、などがおこなわれています。その結果から、生徒たちの独創力、深い思考力を推し量ることができます。
教育の「設計」と「評価」が教育現場で普遍化するまでさらに幅広い研究が必要となるのです。

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先生情報 / 大学情報

東北大学 教育学部 教育科学科 教授 有本 昌弘 先生

東北大学 教育学部 教育科学科 教授 有本 昌弘 先生

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教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

高校生の頃は、将来について悩み、どう生きるかを模索する年頃だと思います。しかし、悩んでいるだけでは前に進めず、進路も決められません。「知識の繰り返しは成功の母、失敗は成功の父」ということわざがあります。犠牲をいとわず、あえてリスクを引き受ける覚悟を持って、何かを成し遂げるための努力を続けてほしいと思います。そして、少子高齢化が進む中、狭い世界にとじこもらず、思い切って「異文化に触れる」「海外に行ってみる」など、未知の世界に飛び出していく勇気を持って高校時代を過ごしてください。

先生への質問

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東北大学に関心を持ったあなたは

建学以来の伝統である「研究第一」と「門戸開放」の理念を掲げ、世界最高水準の研究・教育を創造しています。また、研究の成果を社会が直面する諸問題の解決に役立て、指導的人材を育成することによって、平和で公正な人類社会の実現に貢献して行きます。社会から知の拠点として人類社会への貢献を委託されている東北大学の教職員、学生、同窓生が一丸となって、「Challenge」、「Creation」、「Innovation」を合言葉として、価値ある研究・教育を創造して、世界の人々の期待に応えていきたいと考えます。