講義No.11196 教育 児童学

障がいのある子どもへの適切な指導法とは?

障がいのある子どもへの適切な指導法とは?

発達障がいとは

発達障がいのある子どもは、情報の取捨選択が苦手です。授業中、黒板に注目すべきなのに、黒板の横の掲示物が気になったり、窓の外から聞こえる自動車の音が気になって先生の話を聞き取ることができなかったりすることがあります。匂いや皮膚感覚などに過敏さがある人もいます。言われた言葉を文字通り受け取ってしまったり、その場の雰囲気に合わない発言をしてしまったりすることで友達との関係をうまく築くことができない人もいます。あなたが自転車に乗れるようになった時、最初は安全に操作することに集中していたと思いますが、操作に慣れてくると、周りの景色を見たり、風を感じたりする余裕が出てきたはずです。発達障がいのある子どもは、いつも初心者マークをつけて、強い緊張感をもって生活していると考えてみてはどうでしょうか。

大事なのは「シンプルに伝える」こと

発達障がいのある子どもの中には、聴覚からの情報を理解することが難しい場合があります。伝える時のポイントは、指示を簡潔にすることです。箱を持って隣の部屋に行く時には、「箱を持ってください」と「隣の部屋に行ってください」と分けて言うようにします。あるいは口頭ではなく、行動すべき内容をイラストなどにしたカードを提示し、視覚に訴えることも有効です。指示したとおりに行動できなかった時は、伝え方が適切ではなかったと反省し、一人一人に合った伝え方を工夫することが必要です。

特別支援教育のめざすもの

特別支援教育は、障がいのある幼児児童生徒が自立し、社会参加するために必要な力を培うため、幼児児童生徒一人一人の教育的ニーズを把握し、その可能性を最大限に伸ばし、生活や学習上の困難を改善または克服するため、適切な指導及び必要な支援を行うものです。失敗したことを注意するのではなく、どうすれば良かったのかを一緒に考えること、一人一人のものの見方や感じ方、考え方が異なるものであることを認め合っていくことによって、同じ時代を共に生きる仲間として支え合っていくことができるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

名寄市立大学 保健福祉学部 社会福祉学科 准教授 矢口 明 先生

名寄市立大学 保健福祉学部 社会福祉学科 准教授 矢口 明 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

障がい児教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

将来どんなことを学び、どんな職業に就きたいのかを考えるとき、保護者や家族の意見も大切ですが、最終的には自分で決断してほしいと思います。部活動や生徒会活動、地域の活動などを通したさまざまな経験があなたの考えを作っていきます。その考えを基に、あなたの職業、あなたの人生を考えてみてください。人とかかわる仕事をしてみたい、障がいのある子どもとかかわってみたいと思う人は、特別支援学校の教員になることを考えてみてほしいです。多くの人との連携が必要なこの仕事には、人と関わることの面白さが詰まっています。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

名寄市立大学に関心を持ったあなたは

「ケアの未来をひらき、小さくてもきらりと光る大学をめざす」名寄市立大学では、保健医療福祉の連携と協働、少人数教育の実践、地域社会の教育的活用と地域貢献に、基づく教育・研究を進め、教養教育の充実を図りながら社会に貢献できる職業人の育成に努めています。
人口減少、少子高齢化が進む中、地域の活性化に少しでも貢献できるよう、本学の総合的専門職養成大学の特徴を生かした保健・医療・福祉・保育(子育て)・食育の観点から産学官の連携を図り、課題解決に向け取り組んでいます。