手洗いの大切さをスマホで普及! 異文化理解で広がる国際保健
スマートフォンで途上国の健康教育
発展途上国のラオスでは約100人に5人の子どもが、5歳までに下痢や寄生虫などの感染症で亡くなります。原因はさまざまですが、水道が村に1つしかないなど水へのアクセスが悪く、手洗いやトイレを使う習慣が根付きにくいことによる衛生環境の悪さが一因となっています。そこでグローバルな健康課題に取り組むフィールドワークとして、学校を基点とした子どもへの健康教育が行われています。手洗いなどの大切さを伝えるのに、以前は紙芝居やパネルシアターが使われていましたが、この10年弱でスマートフォンが普及したためFacebookなどSNSを利用した手法の研究も進んでいます。
子どもたちから地域へ広がる知識
周辺の村から学校に集う子どもたちが、学んだ知識を家庭に持ち帰って地域へと広めることを、国際保健では「School to Community(学校から地域へ)」といいます。しかし、ラオスでは親世代になると識字率が低いこと、また多民族国家でラオス語を話さない人もいることが健康教育を広める上で課題でした。スマートフォンがあれば、文字が読めなくても動画などで情報にアクセスできます。今後は現地の中高生とともに民族特性に合わせた動画を作り、それをYouTubeやTikTokで子どもたちが見て、手洗いやトイレを使用することの大切さを学べるようになっていくことが目標とされています。
看護の基本につながる異文化理解
ラオスでは水道や電気が通ったばかりの村でも、スマートフォンはすでに普及しています。海外では文化の違いに驚くことがたくさんありますが、国際保健を推進していくには、グローバルな視点に立って異文化を理解することが大切です。
異文化理解は国際活動だけでなく、看護の基本である他者理解、患者理解にも通じます。同じ日本人でも人はみな違う環境で育ち、違う価値観を持っています。看護ではその人の生活や、大事なものを尊重しつつ、専門職として患者の最適を見つけていきます。
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関西医科大学 看護学部 看護学科 教授 山本 加奈子 先生
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