学校教育でエビデンスベースの教育を推進する
学校教員の魅力
教育は、人でなければできない仕事です。「学校の先生は忙しく、苦労が多い」という声がありますが、子どもたちの成長に寄り添い、支えることの喜びとやりがいに満ち溢れている仕事でもあります。子どもたちが子ども時代を充分に生き、未来を切り拓いていく力を身につけるために、教師の存在はたいへん大きく、教師は子どもとともに生きるなかで工夫や試行錯誤を繰り返し、自身も成長を続けていきます。
教師を養成する大学のなかには、さまざまな分野で活躍する大学教員の授業や研究から得た最新の専門的な知識を「教育データサイエンス」の視点をもって学校教育現場に生かしている大学もあります。
学校で「食」を教えること
子どもたちが豊かな人間性をはぐくみ、生きる力を身につけていくためには「食」が重要です。食について考え、次世代に伝えるのは、家庭や地域だけでなく、学校でも行う重要な教育です。家庭科の食生活分野では、栄養や食品についての知識を得るとともに、調理に関わる技術も身につけます。調理は科学です。調理中の食品成分の変化を科学的にとらえ、栄養面や嗜好(おいしさ)面から最適な調理条件を考え、それを子どもたちに伝えていくことは、食への関心と意識を高めることに繋がります。
「おいしい」を科学的に分析する
ヒトは、味覚や嗅覚などの五感が食品から受けて脳に伝えた情報と、体調や心理状態、周りの環境、過去の記憶などの情報とを合わせ、脳で総合的に判断して、「おいしい」かどうかなどの評価を下します。滋賀の伝統的な料理の一つである「ふなずし」に対する官能評価では、ふなずしの食経験がその嗜好性に大きく影響することが明らかになりました。この研究結果をもとに、伝統食であるふなずしを今後も伝えていくためには、ふなずしの食経験やふなずしに関わる情報を与えることが重要であることが示唆されています。このように、科学的な視点で分析し、得られたデータを活用して教育に繋げる教育データサイエンスの活用が今後の教育には求められています。
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先生情報 / 大学情報
滋賀大学 教育学部 学校教育教員養成課程 初等教育コース 初等教科専攻家庭専修/中等教育コース家庭専攻 教授(学部長) 久保 加織 先生
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先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?