オンデマンド型の授業が創り出す、教育の新しいカタチ
コロナ禍で増加したオンデマンド型の授業
2020年から世界規模で拡大したコロナ禍を1つの契機として、国内外の大学では、生徒を教室に集めて行う従来型の授業から、インターネットを活用したオンデマンド型の授業への移行が進みました。その過程で、オンデマンド形式ならではのメリットを見いだして活用する教育手法の研究も進められています。
オンデマンド型ならではの新しいアイデア
例えば、教室で行う形式の授業では、1コマ90分という限られた時間の中に、出席確認や座学、小テスト、グループワークといった活動を入れ込まなければなりません。一方、オンデマンド形式では、必ずしも授業時間に縛られる必要はなく、1コマの授業に含まれる活動を、1週間かけて学生に学習してもらうことも可能です。教室での授業ではクラスごとに違う曜日を設定する必要がありますが、オンデマンド形式では、すべての学生が同じスケジュールで学べます。学生が授業を欠席した際のデータも管理できるため、出席回数が足りない学生への注意喚起も適切に促すことが可能です。
また、オンデマンド型の授業で学生に資料を閲覧させる際には、最初からすべて閲覧可能にするのではなく、学習のステップごとに段階的に閲覧できるような仕組みを導入すると、学生はゲーム的な感覚で楽しみながら学習を進められるようになります。
オンデマンド型で変わるテストのあり方
テストのあり方も、オンデマンド形式ならではのメリットを生かした工夫が研究されています。例えば、1つのテストを、受験するたびに同じテーマで異なる問題がランダムで出題される仕組みにし、一定期間内であれば何回もくりかえし受験できるルールにして、より良い点数を評価する形式にすることなどが考えられます。これは単に学生の成績を上げるだけでなく、くりかえし受験することでその学生の理解の向上にも結びつく利点があります。オンデマンド型の授業は、既成概念にとらわれない新しい教育の形を開こうとしているのです。
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大阪教育大学 教育学部 教員養成課程 次世代教育部門 准教授 尾崎 拓郎 先生
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