モータで作り出そう! クリーンで省エネな環境共生型社会

モータで作り出そう! クリーンで省エネな環境共生型社会

低炭素社会実現に役立つモータ

洗濯機や掃除機はモータの力で動いています。モータや発電機を総称して「回転機」といい、自動ドアやエレベーター、車のパワーステアリングなど、身近な所でも数多く使われているキーデバイスです。モータには発明から200年ぐらいの歴史があり、産業用などに使われる一般的なモータは原理や構造が確立され、技術的にも成熟している分野です。しかし近年、地球環境保護の観点から二酸化炭素を出さない動力源としてモータが注目され、新たな用途が生まれています。

電気自動車やハイブリッド自動車にも不可欠

モータをもっと高効率化し、エンジンや油圧機器などをモータへ置き換えようとする動きが盛んになっています。代表的なものの一つが電気自動車・ハイブリッド自動車の走行用モータです。電気をエネルギー源とするモータの利点は、電流の強さに比例して瞬間的にトルク(回転力)を出せるため、燃焼型のエンジンの倍ぐらい効率がよいことです。レスポンスが早いので変速ギアもいらず走りがスムーズです。自動車では発進する低速時に最大の力が必要なので、磁力の強い磁石を使ってパワーを出そうとしていますが、ここに解決すべき課題があります。

レアアースを使わずコンパクト化をめざして

強力な磁石には主に中国で産出されるレアアース「ネオジム」が使われているため、コストが高く不安定です。また、磁力が強いと高速域でモータの端子電圧が上がるので、バッテリーやインバータを大きくせざるを得ません。そこでレアアースを使わず同等のトルクが出せて、しかもコンパクトに設計できる自動車用のモータの研究開発が急務となっているのです。
また、風力発電用の巨大洋上風車などでも、風速の広い範囲で効率のよいコンパクトな発電機の開発が期待されています。省エネと環境負荷の低減をめざし、建設機械や航空機などにもモータを使った電動化の波が押し寄せようとしているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

金沢工業大学 工学部 電気エネルギーシステム工学科 ※2025年設置構想中 教授 深見 正 先生

金沢工業大学 工学部 電気エネルギーシステム工学科 ※2025年設置構想中 教授 深見 正 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

電気機器学、電気工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

モノを動かすモータや電気をつくる発電機は、「回転機」と呼ばれ、社会基盤を支えるキーデバイスとして、電力・産業・交通・家電・民生など、さまざまな分野で利用されています。
私の研究室では、低炭素社会の実現に欠かせない電気自動車・ハイブリッド自動車・風力発電などの特定用途にベストフィットした、新しい原理・構造の回転機の研究をしています。環境共生型のクリーンな動力社会をめざして、ぜひ一緒に研究しましょう。

先生への質問

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金沢工業大学に関心を持ったあなたは

金沢工業大学では、講義等で「知識を取り込み」、それを仲間との実験・演習の中で「思考・推論」し、組み替え結びつけることで「新たな知識を創造」し、その成果を「発表・表現・伝達」する独自の学習プロセスを全科目で導入しています。さらに高度な研究環境の中で産学協同による教育研究を実践するとともに、夢考房など知識の応用力を高める多彩なフィールドを実現することで、獲得した知識を知恵(応用力)に転換できる「自ら考え行動する技術者」を育成しています。