脳の信号を読み取って機械を動かす「BMI」が開く未来

脳の信号を読み取って機械を動かす「BMI」が開く未来

脳が体を動かす仕組み

人間の脳は、1000億個以上もの神経細胞によって構成されています。人間が体や手足を動かす時、脳の中でそれらの動作の指令を発する場所は決まっていて、頭頂部から左右の耳にかけてのあたりにある「運動野」と呼ばれる部分にそれぞれ分布していると考えられています。

脳波を計測して得たデータを活用

頭に脳波計を装着して運動野の様子を観察すると、普段はアイドリング状態で発生している脳波が、体のどこかを動かそうとした時、その動作に対応する部位の脳波が変化するという特徴を計測することができます。こういった脳の神経細胞での電気的な信号は非常に微弱で、10マイクロボルト、乾電池の10万分の1ほどの電圧でしかありません。しかし、現代の脳波計の精度は非常に高く、多くのチャンネルで同時に計測して、オンラインでデータを処理することが可能です。こうして得られた体の動作と脳の信号に関するデータを用いて、体を模した機械や体の動作を支援する装置を動かす仕組みは、「ブレイン・マシン・インターフェイス(BMI)」と呼ばれています。

BMIをリハビリに応用するには

BMIの技術を用いると、例えば脳卒中の患者のリハビリに活用できる支援装置の開発などが可能になります。以前は、手や指の細かな動きのリハビリをBMIによって支援するのは、脳波が微弱すぎるために難しいと考えられていました。しかし最近では、その運動を想起しやすくさせる動画を同時に患者に見せることによって、BMIとの連動によるリハビリを可能にする仕組みの開発も進められています。
今後、日本だけでなく世界各国でも高齢化が進むことが確実視されています。その中で、セラピストによる従来型のリハビリだけでなく、BMIによる自主的なリハビリも可能になれば、医療現場の負担も大幅に軽減できるようになるかもしれません。人間の脳の仕組みの探究は、これからの社会を支える可能性を秘めているのです。

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明治大学 理工学部 電気電子生命学科 生命理工学専攻 教授 小野 弓絵 先生

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