脳とロボットをつなげるBMIの研究

脳とロボットをつなげるBMIの研究

脳波でロボットを思い通りに操作する

現在、人の脳と機械をダイレクトに接続する「BMI(ブレイン・マシン・インタフェース)」の研究が注目されています。これは、人が考えた通りにロボットを動かしたり、頭で考えるだけでコンピュータに文字入力できるようにしたりする機械制御技術です。現在は脳波や視線の検出によってロボットを操作していますが、より感覚的な操作方法を実現するために、人の動きを正確に再現できるロボットの開発が進められています。しかし、「コップを持つ」といった簡単な動作でも、人間は同時に50以上の筋肉をコントロールしています。こうした緻密な筋肉の動きや可動域を再現するため、人間の骨格を3Dプリントしてサーボモーターや制御基板などを組み合わせたロボットの開発が行われています。

人間の動きを再現するロボット

脳波で操作するタイプのBMIは、人が動作を行う際に発している微弱な脳波を利用します。人体のさまざまな動きに合わせた脳波パターンをAIに学習させ、BMIが読み取った脳波に対応した動きをロボットが再現するように調整を行います。映画『アイアンマン』のように身体に装着して人間の動きを助けるロボットや、離れたところから念じるだけで動かすことができる機器の開発が目標とされています。

脳のデータを移す?

BMIとロボット制御の研究・開発が進めば、より人体に近い高性能の義手や義足が可能になります。また、どんな職種でも職場に出勤せずに、自宅からロボットを操作して作業できるようになるかもしれません。さらにこの研究が進めば、最終的には人間の脳にあるデータを別の脳や機械に移し替えることで「死なない人間」を実現できるかもしれません。脳のデータを移し替えることができれば、肉体の寿命とは関係なく人の脳は生き延びることができます。すでに海外ではラットでの研究が始まっており、人間が死なない未来が訪れるかもしれないのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東京工芸大学 工学部 機械コース 教授 辛 徳 先生

東京工芸大学 工学部 機械コース 教授 辛 徳 先生

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ライフサイエンス、情報工学、機械工学

メッセージ

野球選手がボールを受け取る、音楽家がバイオリンを弾く時など、日常生活のさまざまな作業において、このような環境との相互作用は脳が腕の粘弾性を巧みに制御しているから可能なのです。 ウェアラブルロボット研究室では脳波や筋電信号や視線などさまざまな生体信号を処理し、ロボットを制御する手法を研究しています。最近の映画『アイアンマン』のように人間のパワーを上げるスーツや電動義手などを作りたいです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東京工芸大学に関心を持ったあなたは

東京工芸大学は 1923(大正 12)年に創設された「小西寫眞(写真)専門学校」を前身とし、創設当初から「テクノロジーとアートを融合した無限大の可能性」を追究してきました。
工学部と芸術学部の 2 学部を有し、工学部は 1 年次に写真とデザインを学ぶことで芸術的なセンスを身につけ、芸術学部はメディアアートを通して工学的な技術を身につけるという、一見相反する両分野を融合させた教育を実践しています。