数式モデルを使い、未来の経済を予測しよう
物事や現象を「数値」でとらえる
世の中には物の状態や程度といった、数値で表しにくい事柄があります。そういった事柄を数値化して考えるのが数量化理論に代表される「計量」の考え方で、物事や現象をとらえやすくするために使われています。具体的には数式で表したモデルを使って計算していきます。経済であれば、現在の動向をデータ化したものを当てはめて計算し、今後の経済状況を予測するといった具合で、実際に「計量経済学」という分野があります。
開票率1%でも「当確」の理由
当たり前のことですが、扱うデータと計算の仕方により出てくる答えも変わります。したがって新しいモデルを作った場合、数式の答え合わせやどこからどこまでなら使えるのかという境界線の見極めを行ってから実際に利用していくことになります。数式作りと同じくモデル評価も労力を必要とするのですが、答え合わせがきちんとできているからこそ、正確な予測ができます。選挙の際、開票率1%でも「当確」を出せるのはそのためです。
さまざまなアプローチから新しいモデル作りも行われており、いま盛んに行われているのはビッグデータを使った方法です。スーパーコンピュータの性能が向上したことで扱えるデータの質も量も変わり、画期的なモデルが生まれる可能性も秘めています。
世の中は計量であふれている
計量の考え方は会社の経営方針やビジネスに用いられることも多く、データを解析することで思わぬ顧客情報がつかめることもあります。一見ミスマッチな商品の売り場を近くしたことで、売り上げが伸びた成功例は多いです。また、東日本大震災のような地震がどれぐらいの確率で起こるのか、その際にどの程度の被害を及ぼすのか、といったことや、政府から発表される人口統計や出生率も同じように計算され、社会保障政策が行われています。身近なところではドラマの視聴率などもそうで、もはや世の中は計量の考え方であふれ、意識せずとも共に生きていると言えます。
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先生情報 / 大学情報
成蹊大学 経済学部 経済数理学科 教授 井上 潔司 先生
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