「英語がうまく話せない」のはなぜ? 第二言語習得の壁とは?
英語が苦手になる心理的要因
あなたは英語を勉強していて「こんなに一生懸命に勉強しているのに、どうしてしゃべれるようにならないのだろう」と思ったことはありませんか。このような疑問に対し、人は第二言語(あるいは外国語)をどのように学ぶのかを探る「第二言語習得」という研究があります。外国語を学ぶときにはいろいろな壁がありますが、文法や発音の習得の前に、心理的な要因が大きく作用していることがわかってきました。
特に日本人の場合、恥ずかしいとか隣の人の目を気にするとか、そしてある程度英語ができる人でも必ず口にする「自信がない」といった心理的側面、あるいは頭の中で完全に文章を組み立てないとしゃべれず、発音も気にする完璧主義という特有の葛藤が習得の壁になっています。言語学習で一番必要なのは実践の回数を重ねることなのですが、上記のような原因で話す機会が減り、ますます話せなくなるという悪循環に陥っているケースが多いのです。
葛藤を乗り越えるカギは
では、このような葛藤はどうしたら乗り越えられるのでしょうか。
研究は現在基礎的な段階なので最終結論はまだ得られていませんが、一つ言えるのは、「英語を話すのも一つの自己表現だ」と考えることです。新しい自己表現を得ることは新しい自分を作るということなので、「この、英語が苦手な人格は私じゃない」と開き直り、新しい自分を育てているんだと考えられれば、学習を邪魔している心理的な壁はかなり低くなっていきます。その際は一歩引いて自分を客観的に見る、「自己相対化」が必要となります。
英語の授業が変わる
この研究は、心理的要因を克服して実際の学習につなげていく方法を引き出すことが目的ですが、教える側も意識を変えなくてはいけません。学生にどう接するべきか、授業をどう組み立てるかという教授法もあわせて考えていかなくてはならないでしょう。この研究が進めば、将来は英語の授業が大きく変わっていくはずです。そのときの先生はあなたかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
フェリス女学院大学 グローバル教養学部 文化表現学科 ヨーロッパ・アメリカ専攻 ※2025年4月開設 教授 大畑 甲太 先生
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