これからの日本語教育に必要なものとは?
リアルなコミュニケーションを通じて日本語習得
英語教育でもそうですが、教科書に登場する設定には、仲のよい友だちとのやりとり、理想的な家族間の会話などが多く見られます。しかし、実際のコミュニケーションでは、トラブルが発生したり、自分の意図が相手にうまく伝わらなかったりする場合が多くあります。こうした時に話をどう円滑に進めていけばいいのでしょうか。そのためには、文化や習慣を理解することが必要です。
日本語教育では今、「共生」という考え方が重視されています。日本国内のコミュニティと外国人とのコミュニケーションをどう図るかという問題です。そこで、「紛争」=トラブル解決のための日本語という視点が、この共生というテーマにかなった考え方として注目されています。
人と人とのコミュニケーションは、何らかの摩擦を生じながら、それを解決していくことで次第に成長していくものです。ですから、これからの日本語教育は、本当にリアルなコミュニケーションを教えていくことが大切なテーマになります。そういう意味でも「紛争」を真正面から取り上げていくことは重要です。言語教育という分野で紛争についてまともにフォーカスしていくと、かえってやる気をなくすのではないかと思いがちです。しかし、自分たちが一緒に生きていく中でどのように他人とつきあっていけばいいのかを考え、ともに成長していくという意味で、こうしたテーマを取り上げた方が、言語教育には効果的ではないかということなのです。
話ができる雰囲気ではない。さて、どうする?
身近な「紛争」の例として、例えば、外国人が日本に旅行に来たとします。その時、満員電車の中で足を踏まれたらどう言えばいいのか、という身近なケース、あるいは、日本人がみんな口を閉ざして話しかけられる雰囲気ではない、でも話しかけたい、さて、どう切り出す?といった事例です。こうしたケースを取り上げて、学習者に考えてもらいます。そうすることで、日本語はもとより日本人の性質、あるいは文化に対する理解が深まるのです。
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