これからの日本語教育に必要なものとは?

これからの日本語教育に必要なものとは?

リアルなコミュニケーションを通じて日本語習得

英語教育でもそうですが、教科書に登場する設定には、仲のよい友だちとのやりとり、理想的な家族間の会話などが多く見られます。しかし、実際のコミュニケーションでは、トラブルが発生したり、自分の意図が相手にうまく伝わらなかったりする場合が多くあります。こうした時に話をどう円滑に進めていけばいいのでしょうか。そのためには、文化や習慣を理解することが必要です。
日本語教育では今、「共生」という考え方が重視されています。日本国内のコミュニティと外国人とのコミュニケーションをどう図るかという問題です。そこで、「紛争」=トラブル解決のための日本語という視点が、この共生というテーマにかなった考え方として注目されています。
人と人とのコミュニケーションは、何らかの摩擦を生じながら、それを解決していくことで次第に成長していくものです。ですから、これからの日本語教育は、本当にリアルなコミュニケーションを教えていくことが大切なテーマになります。そういう意味でも「紛争」を真正面から取り上げていくことは重要です。言語教育という分野で紛争についてまともにフォーカスしていくと、かえってやる気をなくすのではないかと思いがちです。しかし、自分たちが一緒に生きていく中でどのように他人とつきあっていけばいいのかを考え、ともに成長していくという意味で、こうしたテーマを取り上げた方が、言語教育には効果的ではないかということなのです。

話ができる雰囲気ではない。さて、どうする?

身近な「紛争」の例として、例えば、外国人が日本に旅行に来たとします。その時、満員電車の中で足を踏まれたらどう言えばいいのか、という身近なケース、あるいは、日本人がみんな口を閉ざして話しかけられる雰囲気ではない、でも話しかけたい、さて、どう切り出す?といった事例です。こうしたケースを取り上げて、学習者に考えてもらいます。そうすることで、日本語はもとより日本人の性質、あるいは文化に対する理解が深まるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

国際教養大学 国際教養学部 日本語プログラム 助教 堀内 仁 先生

国際教養大学 国際教養学部 日本語プログラム 助教 堀内 仁 先生

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メッセージ

決めた目標をあきらめないで努力を続けてほしいと思います。私が日本語教育を志したのは大学時代のゼミがきっかけです。日本語教師を取り巻く環境が厳しい中、あきらめずに歩んできました。その中で、専門性を高めるために大学院へ進み、レベルアップを図るために留学をし、キャリアを積み重ねたことで今の道があります。あなたにも、自分がめざしたことをひたすら頑張って貫いてほしいと思います。そして、努力を重ねていれば、いつかは道が開かれます。

国際教養大学に関心を持ったあなたは

国際教養大学の挑戦―それは、従来の日本の大学では実現が難しかった課題に向けて「国際教養」という新しい理念を掲げ、その特色を最大限に生かし、グローバル化が進む国際社会を舞台に存分に活躍できる優れた人材を養成することです。本学では斬新な教育プログラムに可能性を見い出した個性的な学生たちが、全国各地から集まっています。「ありきたりの大学生活では物足りない!」と考えているみなさん、「壮大な夢を抱く仲間たちとともに輝いてみたい!」と願うみなさんは、ぜひ一度本学を訪れてください。