地理情報システムを活用し、社会問題を解決する!
「デジタル地図+技術」で新しい用途を開発
ICTの発達にともない、地図も紙からデジタルデータに変わりつつありますが、デジタル地図と地理情報システム(GIS)などの新しい技術を組み合わせることで、さまざまな新しい用途が生み出されています。
例えば、ダイオキシンの拡散状況と土壌中の蓄積量を計算し、それを500メートル区画単位でデジタル地図上に示すことで、どこにどれだけダイオキシンが蓄積しているかが一目でわかります。また、一方的な情報発信だけでなく、情報の受け手が持つ意見や情報を集めて発信する双方向のコミュニケーションもできます。一例としては、災害情報の発信です。SNSを使い身近な場所の被災状況を発信してもらい、それを集めてWebのデジタル地図上で示すことで、危険な場所や安全な場所についての情報がリアルタイムで共有できます。
地域の観光情報を住民が発信
双方向の情報発信のメリットは、災害時だけではありません。
山梨県の東部地域では、これを地域の観光振興に活用しています。この地域は、都内からのアクセスもよい場所ですが、有名な観光名所がないため、観光客が少ないことが課題でした。そこで、地元の魅力や観光資源となるものを地元の人に発掘してもらい、その情報を集めてネットの地図上で発信するようにしました。これにより、ガイドブックを作らなくても、地域をPRできるようになりました。また、発信された情報について問い合わせられる仕組みも作り、発信側と受け手との情報交流もできるようにしました。
人や社会に近い場所にも工学の発想を生かす
こうした仕組みは、「社会情報システム」といい、社会の課題を解決するために工学を利用して構築するものです。工学というと、機械や電気、金属など、とかく製造業などの産業に関する研究が中心だと思われがちですが、このように人や社会に近いところでも工学の発想を生かした取り組みが行われているのです。
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先生情報 / 大学情報
電気通信大学 情報理工学域 I類(情報系) 経営・社会情報学プログラム 教授 山本 佳世子 先生
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