心理学の知識を使って犯罪を予測し犯人を検挙する「犯罪心理学」
心理学を用いて犯人を追い詰める!
残念ながら日々、犯罪は起きています。心理学の中でも、犯罪捜査や犯罪予防を目的としているのが、「犯罪心理学」です。犯罪心理学の中には、犯罪捜査の過程に焦点を当て、心理学を利用して犯罪捜査の手法や捜査ツールを開発する研究や、犯罪者の行動に基づいて防犯技術の開発をする研究などがあります。犯罪が起こる背景を心理学で考えることは、犯罪防止に役立っています。
プロファイリングによるストーカーの防犯も
ドラマの犯罪捜査のシーンで、犯人逮捕につながる「プロファイリング」を見たことがあるでしょう。犯罪捜査は、人間の行動を研究する心理学を駆使します。犯罪をデータベース化して、年齢、職業、住まいなどを推定するプロファイリングを行います。統計学に基づいた科学的な捜査が、ここ10年で飛躍的に発展しています。
ストーカー事件を例に取り上げてみましょう。昔は元カレより見ず知らずの人に付きまとわれることが危険とされてきました。それは、元カレとの問題は話し合いで解決できると思われていたからです。ところが、多くのデータを集積すると、元カレからストーカー行為を受ける確率のほうが高いことがわかり、かつての恋人のストーカー行為がエスカレートしないように、警告が必要だという認識が高まってきました。「刑事の勘」より、犯罪心理学や統計学に基づく科学的なデータの重要性が認められてきたのです。
都市計画にも重要な役割を果たす
プロファイリングに限らず、犯罪者の行動を研究した成果に基づいた防犯技術の開発は、都市計画にも活用されています。例えば、Aという町の盗難の発生率を推定したり、道路を拡張することによって、犯罪の増減を統計学に基づいて予測することができます。その予測は、新たに交番を設置する際に、犯罪防止の観点から効果的な設置場所を決めるときなどのデータにもなります。犯罪心理学は犯罪防止だけでなく私たちの生活にも、大きな役割を果たしているのです。
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先生情報 / 大学情報
法政大学 文学部 心理学科 教授 越智 啓太 先生
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