「マインドコントロール」の謎を解けば世界平和につながる!
「マインドコントロール」とは何か?
カルト的な宗教団体をめぐる事件などで「マインドコントロール」という言葉を聞いたことがあるでしょう。マインドコントロールとは、本人が気づかないうちに他人が誘導して心理操作することです。身体拘束や暴力的な脅迫をともなう「洗脳」と違い、コミュニケーションの中で行われるのが特徴です。
アメリカでは1978年に集団自殺事件が起こったことをきっかけに、また日本では芸能人の宗教入信やオウム真理教事件などで1990年代から、マインドコントロールという言葉が注目され広まりました。反社会的、時には違法の、常識では考えられない行動を取る人たちがマインドコントロールされている事実がメディアでも取り上げられました。
宗教とマインドコントロール
マインドコントロール自体は多様な場面で行われることが想定されますが、特定の宗教と結びついて利用されることがあります。宗教とは一般的には、社会や人の精神を良いものにすると考えられがちです。しかし、個人の欲求を満たすためだけに他人を操作することが行われていても、宗教を隠れみのにすることができます。また人生の悩みや未解決の問題を抱えていてはっきりしない状態が続き、不安で早く答えにたどり着きたいという心理状態は、「宗教なら正しい答えを出すことができる」と勧誘されやすい状況を招きます。
マインドコントロールを解くメカニズム
マインドコントロールは、通常と何ら変わりのないコミュニケーションの中で本人の気づかないうちに行われるものですが、社会心理学的には、逆にマインドコントロールを解くコミュニケーションのメカニズムもあると考えられています。
実は国連の安全保障理事会でも、国際テロリズム対策として、カルト信者が過ちに気づくに至った「脱過激化」のコミュニケーションを研究しているほどです。社会心理学とは、このように心理のメカニズムを調査・実験して、その成果を社会に還元する役割があるのです。
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先生情報 / 大学情報
立正大学 心理学部 対人・社会心理学科 教授 西田 公昭 先生
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