大学や企業の競争力向上につながる国際産学連携
海外に研究開発拠点を置くわけ
グローバル化が進む自動車産業では、日本企業が海外に工場や研究開発の拠点を置いて、企業活動を行っています。中でも研究開発は、モータリゼーション発祥の地と言われる欧州では今も先進的な技術開発が進んでいることから、企業の動きも活発です。欧州では速度制限のない高速道路や、道幅が狭い石畳の市街地といったさまざまな道路事情もあり、ユーザーがメーカーに求める性能も具体的です。例えばハンドルを切った時のレスポンスの良さ、いわゆる「キビキビ感」は、欧州だけでなく世界中のユーザーに好まれます。そこで日本企業は欧州の研究開発拠点を通じて現地の学会に参加したり、大学や企業と連携した研究を進めたりしてそれらの技術を吸収し、自社製品の開発に取り入れています。
リサーチ・アドミニストレーターとは
ある研究で日本の製造業に実施されたアンケート調査では、海外に設ける研究開発拠点の活動が、自社の研究成果に寄与しているという結果が示されました。また、企業と大学との連携、いわゆる産学連携に対する姿勢は、企業だけでなく大学側も積極的です。特に海外の大学では、学内の研究で生まれた技術や知見を、企業活動とマッチングさせることで活用につなげる「リサーチ・アドミニストレーター」という職業が注目されています。大学の第三の教職員とも称される彼らが、産学連携による研究成果の活用を通じて研究活動の活性化に貢献しているのです。その事例は、「同じ国同士の企業と大学」だけでなく、「日本企業と海外の大学」、「日本の大学と海外企業」という国際的な組み合わせも増えています。
大学や企業の競争力向上を支えるために
近年では日本の一部の大学でもリサーチ・アドミニストレーターを雇用したり、国が主導するリサーチ・アドミニストレーターの育成が行われたりしています。国際産学連携の活動や、それを支える研究マネジメント人材の活躍が、大学・企業の競争力向上に寄与することが期待されており、事例研究も進められています。
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