イノベーションが業界を動かす 勝てる企業が勝てる理由

イノベーションが業界を動かす 勝てる企業が勝てる理由

勝てる企業はどんな企業かを解き明かす

社会には数多くの企業が存在します。競争が激しい現代社会の中で、勝てる企業、勝ち続ける企業には何が必要なのか、その謎を解明するとともに、業界にフィードバックするための学問が経営学の経営戦略論という分野です。
イノベーション、とりわけ、インターネットを介したビジネスは時にその勝敗を分けるほど影響は大きく、これからもさらなる発展が予見されている分野です。実際、証券業界では1990年代後半から2000年代にかけて大きな変化が起きました。

5年でシェアの70%がネット証券に

1990年代後半、さまざまな業界がビジネスのインターネット化に舵(かじ)を切りました。証券業界においてはそれ以前、全体の50%以上を握っていた大手三大証券の個人顧客のシェアが10%程度にまで下がり、その分がネット証券に移行しました。同時期に起こった「金融ビッグバン」と呼ばれる規制緩和の影響もありましたが、ネット証券の導入からわずか5年程度でこれだけシェアが動くというのはほかの業界、これまでの歴史をひもといても異例です。

松井証券はなぜ一人勝ちできたのか

その中でも圧倒的な業績で新時代の船頭となったのが松井証券です。松井証券はイノベーションの波がくる以前に、営業パーソンを撤廃し、コールセンターでの売買のみに切り替えるという大胆な変革を行いました。そこで得たデータをもとに、ネット証券登場後はターゲットを中高年層に絞り、自由度の高いサービスを提供しました。他社が若者に照準を合わせたのとは対照的に、ターゲットを正確に見極めた松井証券は独走状態を築きました。
松井証券が勝てた理由は変革とターゲットの見極めにありますが、他業種でも勝てる企業には何かしらの要因が必ず存在します。対象のデータをまとめ、他社と比較することで、その企業の戦略を分析し、社会の法則を抽出して勝てるヒントを企業にもたらすことも経営学、経営戦略論の魅力であり、重要な使命でもあります。

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先生情報 / 大学情報

横浜国立大学 経営学部 経営学科 教授 高井 文子 先生

横浜国立大学 経営学部 経営学科 教授 高井 文子 先生

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経営学

先生が目指すSDGs

メッセージ

経営学は文系、理系問わず、どんな人にとっても必要で、学ぶ価値があり、どんな人生を歩むうえでも役立つ学問です。また、企業を対象とした研究群ですので、そこには必ず興味を持てる研究分野が存在します。高校までの科目にない分野なので不安に思うかもしれませんが、経営学に興味や関心が少しでもあるなら、積極的にめざしてほしいです。
幅広い分野なので、やりたいことにつながる可能性も非常に高いといえます。もし進路に迷っているなら、経営学部を一つの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。

先生への質問

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横浜国立大学は、高い国際性と実践的な学問を尊重し、社会に開かれた大学をめざします。全学部の学生がひとつのキャンパスで学び、学部の垣根を越えた交流ができ、国立大学には数少ない経営学部も置かれています。新しい潮流を起こして21世紀の人類社会に貢献できるよう、社会からの要請を的確に把握し、国民から委ねられた資源を有効に活用しつつその活動を開放し、社会の期待に応えます。