困ったことにはチャットボットが答えてくれる
誰に相談する?
生活の中で困ったことがあったり、自分自身のことに悩んだりしても、誰にどこで相談していいかわからず、相談自体をためらうこともあるかもしれません。それはコミュニケーションの困難さを伴う発達障害のある人ならなおさらです。そこで、日々の困り事を問いかけると、対処法やアイデアを自動で提案するチャットボットが開発されました。
「障害」とは、個人が持つ特性ではなく、その人と周囲の環境との間にミスマッチがあることで起きる障壁だと考えられます。つまり、健常者を含めた誰にでも起こり得るものなのです。そこで、このチャットボットは発達障害の有無に関係なく利用できるように開発されました。
3年間の実証実験
応答する内容は、属性がさまざまな3000人ほどに調査をして集めた結果を入力してあります。スキルアップにも使えるような内容も含めて、悩み以外でも使えるようにしてあるのも特徴です。気軽にアクセスする工夫として、専用のアプリをインストールさせるのではなく、多くの人が使っている通話アプリを使用しています。
3年間の実証実験では、発達障害の有無にかかわらず、チャットボットの利用で生活の困難感が減ったという結果が出ています。キャラクターを設定してフレンドリーな雰囲気を出したことで、相談という用途だけでなく、24時間気軽に会話ができるツールとして使え、安心感につながったという意見もありました。今後の実用化に当たっては、システム内のやり取りにとどまらず、必要であれば福祉や医療などの支援サービスにつなげることも想定されています。
自分の色合いを活かせる環境を
誰もが、苦手なことや人と違うところを持っています。人は発達障害の有無という白黒の2色に分かれているわけではなく、それぞれに違った色合いを持つカラフルな存在だといえます。自分がどんな色を持っているかを自分自身がきちんと理解して、その上で敬意を持ってお互いの色合いを生かしていけるような環境をつくりだすことが望まれています。
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先生情報 / 大学情報
筑波大学 人間学群 障害科学類 准教授 佐々木 銀河 先生
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