会社の成績表を作るのに欠かせない、会計のルールとは?
お店がくれるポイントは、お店の借金だった!?
家電量販店などで商品を買うと、購入額に合わせてポイントがつきます。このポイントは、店ではどのような扱いになるのでしょうか。実はこれまで、ポイントは店の借金として計算し、客がポイントを使うと借金が減っていく仕組みだったのです。しかし、現在はこのルールが変更され、ポイント分は店の売上から引くことになりました。店や会社の売上や利益が1年間いくらだったかをまとめたものが「決算書(財務諸表)」で、作るためのルールを「会計基準」と呼びます。決算書は会社の成績表や健康診断書の役割を果たしています。
正しい評価ができず、会社が倒産
会計基準は国ごとに異なり、また時代ごとに改正されてきました。例えば、会社が株を100万円分買ったとします。以前の日本では、購入した時の金額である「取得原価」で計算し、会社には常に100万円の株の資産があると判断していました。しかし、株価が半分に下がった時に、本当は株には50万円の価値しかないのに決算書では100万円あることになり、会社の正しい評価ができません。バブル崩壊後、それらが原因で金融危機が起こり、いくつかの銀行や会社が倒産しました。そこで取得原価ではなく、その時の評価額である「時価」で計算しようと会計ルールが変わったのです。
会計基準は法律ではないが
会計基準は厳密には法律ではなく、守るべき法的規範とされています。内容が専門的で、もし法律にすると改正するにも国会で審議するため時間がかかってしまうからです。では、なぜ皆が法律ではない会計基準に従うのでしょうか。もちろん、法律で従うように決められているという面もありますが、世の中にはみんなが自然発生的なルールに従うという側面もあるのです。例えば、人が自然とエスカレーターの片側を空けて利用するように、会計基準も会社の実務で自然に培われたルールの集合体という性格があります。そんな会計基準ですが、現在は暗号資産(仮想通貨)をどう処理するかという課題についても話し合われています。
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愛知淑徳大学 ビジネス学部 ビジネス学科 准教授 森 洵太 先生
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