講義No.06680 機械工学

渦を制するものが、スピードを制する!

渦を制するものが、スピードを制する!

プロペラ機が遅い理由

お風呂やプールの中で腕を伸ばし、真横に勢いよく動かそうとしても、腕が上下に揺さぶられ、うまく動かせないでしょう。実は腕の上下にできた水の渦がパラシュートのようになり、動かす方向と逆に引っ張っているのです。また、高速道路で軽自動車を運転するとハンドルが取られ、横風を受けるとあおられてしまうのは、車体の周りにたくさんの空気の渦が生じているからです。渦の大きさは物体の大きさや形に左右されるのですが、一見理想的に見える円柱や球形でもかなり大きな渦ができます。昔のプロペラ機は高性能なエンジンを乗せても補強のために付けられたワイヤーがたくさんの渦を生んでしまうので、スピードが上がりませんでした。

空気抵抗を巡る闘い

最も渦ができにくいのは、いわゆる「流線型」です。昨今は世の中が省エネルギー化に進んでいることもあり、飛行機や自動車はどんどん流線型に近づいています。現在の自動車のCd値(空気抵抗係数)は抵抗のことを何も考えていなかった頃の1/3ほどに低下し、さらに各企業ともしのぎを削っています。一見したところではわからないのですが、2000年代に入ってからの自動車は車体の下にエアロパーツを付ける車種が増えています。

スポーツの分野での試み

渦をコントロールする試みは、スポーツの分野でも盛んです。ゴルフボールにおけるディンプルと呼ばれる凹凸はその最たるもので、ディンプルがなければボールは半分も飛ばないでしょう。スピードスケートや水泳のウェアの表面に付けられるリブレットも、水や空気の抵抗を減らす工夫です。以前はビーズなどが表面に付けられていましたが、近年は縫い目の位置を調節することで、同様の効果を狙っています。しかし圧倒的に効果があるのは、やはり全体的なフォルムです。水の中で力を抜いたとき、いかに流線型に近づけるか、各メーカーは体型を補正する試みを行っています。このように流体工学では、空気や水の渦と闘い続けているのです。

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長岡技術科学大学 工学部/工学研究科 機械工学分野 教授 高橋 勉 先生

長岡技術科学大学 工学部/工学研究科 機械工学分野 教授 高橋 勉 先生

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流体工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

今の時代、ひとつの技術だけでできるものはほとんどありません。最も代表的なのが自動車で、流体や熱、材料、情報、バイオ、生命など、さまざまな分野の知識が合わさり、ひとつの機械を作っています。
そういう世の中ですから、この大学のこの学部に行けばすべて学べるということにはなりません。何かにこだわるのはとても大事なことです。しかし決して凝り固まることなく、自由な視点から物事に興味を持ち、自分の世界を広げてください。将来、どんな道に進んだとしても、幅広い経験から得た知識はきっと役に立つはずです。

長岡技術科学大学に関心を持ったあなたは

長岡技術科学大学は、大学院に重点を置き、実践的な技術の開発を主眼とした教育研究を行う工学系の大学として、新構想のもとに設置され、実践的・創造的な能力を備えた国際的に通用する指導的技術者・研究者の養成を行い、これらを通じて社会との連携を図ることを基本理念としています。
大学はまた、勉学の場であると同時に人間形成の場でもあります。美しい豊かな自然に恵まれた環境と、国内はもとより世界の各地から集う学生たちが豊かな人間性を養い、創造性とチャレンジ精神を求め、友情を育む潤いのある大学生活の場があります。