未来の車、飛行機―環境負荷低減に貢献する流体シミュレーション

未来の車、飛行機―環境負荷低減に貢献する流体シミュレーション

ソーラーカーレース

世界最大級のソーラーカーレースが2年に1度オーストラリアで行われています。北から南まで縦断する約3000kmの公道をおおよそ5日間にわたって走り、走破時間を競うレースです。太陽光のみを動力源とするため、使えるパワーはドライヤー1台分程度しかありません。その小さいパワーで時速100km近い速度を出すためには、空気抵抗を極限まで抑えて、消費されるパワーを減らして走ることが重要になります。空気力学を極めたものが勝つレースなのです。

渦の影響を避ける設計

走行時には、前から来る空気は車体に当たって上下だけでなく左右にも分かれて流れます。その流れをどう分けるかが空気抵抗や走行の安定性に関わってきます。また、分かれた空気は車体の後ろで合流します。この合流がうまくいかないと、空気の渦が形成されて、車が後ろに引っ張られてしまいます。竜巻の渦に近づくと物が吸い込まれてしまうのと同じ原理です。渦のほかの例としては、ロケットの打ち上げの時に聞こえるとても大きな音も、排気ジェットにより作られた渦が出す音です。この渦は非常に大きな音を発生し、それが地面などで跳ね返ってロケットを揺らしてしまいます。車やロケット、飛行機などの設計では、渦の流れを考慮することがとても重要なのです。

ソーラー飛行機への応用

地上の通信網が届かないためドローンの飛行が難しい地域でドローンを飛行させたり、ドローンの運航管理を行ったりするために無人のソーラー飛行機の開発も行われています。小さなパワーで長時間飛行させるには、重量を軽くし、遅い速度でも安定して飛行できる設計を行う必要があります。日本の研究グループは、無人ソーラー飛行機を開発し、実証飛行試験を成功させ、超軽量機体の開発で炭素繊維複合材料に関する世界的な賞も受賞しています。
カーボンニュートラルをめざす将来には、よりエネルギー効率の高い車や飛行機が必要とされます。その実現には、「流体シミュレーション」をはじめとした基礎研究がとても重要なのです。

参考資料

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先生情報 / 大学情報

東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空宇宙学専攻 教授 福田 紘大 先生

東海大学 工学部 航空宇宙学科 航空宇宙学専攻 教授 福田 紘大 先生

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工学、航空宇宙工学、機械工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は高校生の頃から機械工学・航空工学を志していましたが、実は物理は苦手でした。しかし、これを勉強すれば将来に繋がるとわかった瞬間、急にやる気が出て勉強するようになったのです。
あなたがまだ、将来何をやりたいかが決まっていないならば、目の前のことだけでなく、ぜひ10年先15年先をよく考えてみてください。それが決まると、どの学部に入れば良いか、何を勉強すれば良いかが、おのずと見えてきます。そして、大学名で選ぶのではなく、やりたいことができる大学がどこなのかを調べて入学すれば将来への近道になるはずです。

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