地球を救うために工学ができること
大地の保水力が落ちている
私たちが住んでいるこの地球を守るためには、今後は環境再生工学が重要になってきます。地球の環境を守っていくためには、リユースや使用済み資源の再資源化ではもう追いつかないのです。使った資源を元に戻す環境再生型にしていかなければ、環境を守り続けることができません。
実際の環境問題として、地球上のあちこちで、気候が変わってしまい、使える水が少なくなり、水源が下がり、植物が水を確保できずに成長できないという事象が増えています。
砂漠化が広がるというのは、砂漠が勝手に広がっているのではなく、水源の水位が下がっているのです。この状態になると、もう単純に緑を植えただけでは、緑地が元には戻らないのです。そこで緑を増やすためには、土壌の保水力を上げる必要があります。
そのための対策として、高分子ゲルを使用した無害な「ゲル土壌」の研究が進んでいます。高分子ゲルとは、高分子が3次元で網の目の構造を持った状態で、水をスポンジのように十分に含ませることができるので、保水力の弱った土壌の回復にも役立つのです。
高分子ゲルで宇宙に植物工場を造る
高分子ゲル土壌は、安全で、土の特性を持ったまま、研究用植物や、特定の植物の育成に最適な土壌を作成することが可能です。一番の特長は、吸水力が高く水が流れないので、植物の下からの給水が可能になり、立体的な2階建て、3階建ての植物工場を造りやすいのです。さらに、高分子ゲル土壌そのものは、乾燥状態では体積、重量ともに非常に小さいので、宇宙へ持ち出すことも容易です。
宇宙空間では、地上よりも太陽のエネルギーの恩恵を受けることができます。太陽光は常に豊富で天候に左右されることは全くありません。また、太陽電池で発電することにより、宇宙でも水を作ることができます。高分子ゲルをもう一歩進めて、植物の根の代わりに使用するのが、「人工根」です。人工根で植物の水分吸収を調整するので、頻繁に水をやらなくても植物が育つようになるのです。
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