アジアに進出する日本の「食」ビジネス
急速な経済発展を遂げるアジア
近年のアジアの経済発展には目覚ましいものがあります。国民の平均的な所得水準を示す1人あたりのGDP(国内総生産)は5千ドルを超えると、外食産業が急速に伸びると言われていますが、1位のシンガポールをはじめ、マレーシア、タイなど東南アジアの国も5千ドルを超えました。こうしたアジアの急成長にともない、日本の飲食店も各国に進出しているのです。
アジアに進出する日本のラーメン店
2000年頃から、日本のラーメン店のアジア進出が増えてきました。今、現地で成功しているのは、日本の味を忠実に再現している店です。これは、所得水準が上がることで海外旅行ブームが起こり、日本を訪れる観光客が増加して、日本と同じ味を自国でも食べたいという人が増えたからです。ただし、お店の雰囲気は日本と異なります。アジア各国では、まるで高級レストランのような店構えや接客が支持されています。ラーメンを「日本食」として、付加価値をつけることで、高い値段であっても現地の人々が受け入れるようになっているのです。
現地のニーズに合わせた宣伝で大ヒット
ラーメン店のように、一部日本とは異なるやり方を取り入れて、ヒット商品になったものはほかにもあります。例えば、清涼飲料水の「ポカリスエット」は、日本ではスポーツで水分を補給するイメージが強いかもしれませんが、そのようなイメージで売り出しても、インドネシアではまったく売れませんでした。日本ほど、レジャーとしてのスポーツが定着していなかったのです。そこで目をつけたのが、イスラム教のラマダン(断食)明けの水分補給でした。ラマダン中は、日の出から日没まで飲食ができないため、脱水症状を起こしてしまう人がいるのです。病院と提携し、そのような人への脱水症状予防や水分・栄養補給に効果があると宣伝したところ、爆発的にヒットしました。現地の人々の文化や習慣に着目して、商品の魅力をアピールしたことが、成功の要因になったのです。
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大阪公立大学 商学部 公共経営学科 教授 鈴木 洋太郎 先生
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