英語教師はアーティスト:グローバル化を支える英語教育
なんで成果が上がらない!
「何年勉強しても英語が使えない」。怒りにも近い英語の苦手意識ですが、現実の厳しさは検定試験の結果にも表れています。例えば、TOEFL iBT(2019年)の合計スコア平均はOECD加盟国のなかで日本は最下位で、アジアの28ヶ国・地域でも26位です。インターネットを通していつでも英語に触れる環境があり、学校でも一生懸命勉強しているのになぜこんな結果に終わるのでしょうか。日本社会の特殊性に由来するのか、それとも英語教育に問題があるのか、ここが問題です。
英語を「学ぶ」から「使う」へ
日常生活で英語を使う必要がない日本では英語学習になかなか力が入りません。ただ、最近アジアの隣国から世界で活躍する音楽グループがでてきました。ルックスだけでビルボードNo.1は不可能です。世界で成功するためには英語が使えることが必要不可欠です。これは英語学習がビジネスと直結した一例ですが、大切なのは英語を「学ぶ」から「使う」という発想の転換です。学ぶことが目的化するといつまでたっても使えるようにはなりません。社会の変化に対応し、発想の転換を迫るのも教師の大切な仕事です。
来たれクリエイティブな人材:英語教育は刺激的
コロナ禍で教師が社会に欠かせない「エッセンシャル・ワーカー」であることが再認識されました。日本では長らく文法・訳読式教授法が中心でしたが、世界ではさまざまな指導法が開発されて成果をあげています。例えば、コミュニケーションを通して英語力を育てるCLT、タスクに焦点をあてたTBLT、そして専門分野の学習内容と言語を統合して教えるCLILなど、これまでとは異なる指導法が次々に開発されています。今私たちに必要なのは、日本の環境で日本人に合った効果的な指導法を開発することです。そのためにはクリエイティブな人材が集まり、英語教育を科学的に研究することが重要なのです。英語教師はことばのアーティストとなり、英語教育を科学的に研究してグローバル人材を育成することが求められます。
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先生情報 / 大学情報
福岡女学院大学 国際キャリア学部 国際英語学科 教授 細川 博文 先生
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