講義No.06491 経営学・商学

コンビニの優れた物流システムを海外進出に生かす

コンビニの優れた物流システムを海外進出に生かす

コンビニはものを売るだけではない

近年、さまざまな業種の日本企業が、アジアに進出しています。コンビニもそのひとつです。コンビニは、商品を仕入れて消費者に販売する「小売業」と思われがちですが、それだけではありません。地域ごとに物流センターがあり、各店舗から販売された商品の情報がリアルタイムで送られてきます。それをもとに、メーカーから必要な商品を必要な量だけ調達し、それを各店舗に配送します。企業が戦略的に行うこのようなものの流れを「ロジスティクス」と言いますが、日本のコンビニは、このロジスティクスにおいて優れた仕組みを持つ「物流業」でもあるのです。

「コールドチェーン」はアジアに根付くのか

また日本のコンビニの場合、優れたロジスティクスを生かし、冷凍、チルド、冷蔵と商品の細かい温度管理を行って、冷たいものは冷たいまま輸送するのが当たり前になっています。この低温で商品を流通させる「コールドチェーン」という仕組みの導入が今、アジア各国でも進められています。この仕組みは、配送時の拠点すべてにおいて適切な温度管理をしなければ実現できません。地域によるインフラの違いや、現地の人の気質によってどのような管理が望ましいのか、課題はありますが、現地に根付かせることができれば日本のコンビニは海外でさらなる躍進をするでしょう。

違いを知り、「強み」を生かす

進出先の国や地域の特性を把握して、ビジネスに生かす学問が「国際産業立地論」です。日本企業にとって、海外はアウェーの土地です。グローバル化が進む現代、海外進出を考えるときには、国や地域の地理的な特色に加え、その土地の文化や習慣、制度の違いを知らないと、ビジネスは成り立ちません。それを踏まえた上で、日本企業独自の「強み」をどのように発揮するかが海外進出の大きなポイントになるのです。
国際産業立地論では、強みを生かすために企業が行うさまざまな工夫を見つけ、問題解決のための理論を構築するところに面白さがあります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大阪公立大学 商学部 公共経営学科 教授 鈴木 洋太郎 先生

大阪公立大学 商学部 公共経営学科 教授 鈴木 洋太郎 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

国際産業立地論

先生が目指すSDGs

メッセージ

私の専門である「国際産業立地論」は、日本企業が海外でどのようにビジネスを展開しヒット商品を生み出そうとしているのかを、地理やその土地の特性から分析する分野です。日本企業は今、特にアジア各国に進出しています。コンビニやスーパーなどで売られているどの商品にも、材料の調達や物流、在庫管理、サービス、パッケージ(包装)、広告などに、企業のさまざまな工夫が詰まっています。ビジネスに関する興味深い工夫を見つけて理論を導きだす「ビジネスの科学」の楽しさを、ぜひあなたにも味わってほしいと思います。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

大阪公立大学に関心を持ったあなたは

2022年4月、大阪市立大学と大阪府立大学が統合し、大阪公立大学が誕生しました。大阪市立大学、大阪府立大学は共に約140年の歴史ある大学であり、水都として交通の要衝であった大都市大阪とともに発展してまいりました。この地の利を生かし、理論と実際を有機的に結合することにより、両大学は大都市大阪で生活する人々が必要とする精神文化の発展や産業と経済の振興を担う中心機関としての役割を果たしてきました。本学はさらなる異分野を融合・包摂した新たな学問の創造と多様な世界市民の育成を目指します。