地元のさまざまな「資源」を、地域産業の活性化につなげる
付け焼き刃的な「町おこし」は長続きしない
地元の名物料理をアピールしたり、大型商業施設を新設するなどで、「町おこし」を図る地域が増えています。それらの取り組みは、一時的に観光客を増やしたり景気を刺激したりするには効果的かもしれませんが、効果が長期間持続し、さらに将来に向けて発展するケースは少ないようです。特に、ある程度の規模の自治体で地域活性化を実現させるには、その地域の歴史的背景や人的・物的資源を活用しながら、基幹産業または産業構造を変革するくらいの抜本的な取り組みが必要です。
地域の経済資源の活用で新しい産業を創出
アメリカにピッツバーグという街があります。ペンシルベニア州南西部に位置する、かつては鉄鋼業で栄えた都市です。1980年代以降、日本から安価な鉄鋼が大量に輸入されるようになり、また新たな製鉄法の誕生で国内における競争力も低下し、都市経済が大打撃を受けました。そこで、IT関連で実績を持つカーネギーメロン大学と、医療系で定評のあるピッツバーグ大学という、地元有名大学2校の技術と人的資源を活用する形で新しい産業を生むための取り組みが進められたのです。現在、ピッツバーグでは、新産業が実績を上げ始め、人口減少にも歯止めがかかりました。
「やらまいか精神」で産業振興
地元の人々の想いや情熱も、地域の活性化にはなくてはならない要素です。静岡県の浜松地域が、その好例と言えるでしょう。浜松市は、県庁所在地ではない「地方都市」ですが、楽器やオートバイ、自動車などで世界クラスの企業の本社や生産拠点が多数、立地しています。これはこの地域に起業家が次々と誕生したこと、またはこの地域が起業家を育成したことによります。この地域にある「やらまいか(やってみよう)精神」が、浜松市を国内屈指の製造都市に育てた原動力であることは間違いないでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。