経済学の歴史から見える、考え方の多様性と「なぜ」

経済学の歴史から見える、考え方の多様性と「なぜ」

マクロ経済学とは?

マクロ経済学とは、「国」のレベルで経済を分析する学問領域であり、ある国で生じるさまざまな問題の解決策を考えることがその役割の一つです。マクロ経済学の始まりは、英国の経済学者ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』(1936)だと言われています。それまでは経済活動は個人の自由に任されるべきで、政府は極力関わるべきではない、それが社会全体のためになると考えられていました。
しかし、そこで起こったのが「世界大恐慌」です。従来の経済学が十分に対処できない一方で、ケインズは「政府が積極的に経済に介入すべきだ」と逆の考え方を提唱したのです。それが大きな支持を集め、マクロ経済学の一大流派として現在でも経済政策に影響を与え続けています。

経済学界の大転換

世界大恐慌を背景に大きな支持を集めたケインズの理論は、経済における政府の役割を大きく変えました。当時の米国ではすでに「ニューディール政策」が打ち出されていましたが、結果的に、その政策の理論的な支えになったのもケインズの理論だと言えます。第二次世界大戦後は、世界経済の中心も英国から米国へとシフトしていきました。と同時に、学問の世界でも、ケインズの新たな考え方が主流に躍り出ました。まさに新しい流派が旧来の流派を打ち負かす、大転換だったのです。

非主流派にも注目する

このような転換期にはいろいろな意見が対立し、激しく議論が戦わされるものです。では、なぜ一つの流派がこれほど強い支持を得たのでしょうか? 旧来の流派は完全な誤りだったのでしょうか? 主流派と対立する考え方や表に出てこなかった意見は、決して捨て去るべきものではないでしょう。むしろ、そのような意見の中にも、現代に役立つ提言や参考にすべき視点が多く含まれています。経済を俯瞰(ふかん)するときに、古いから、非主流派だからと無視するのではなく、それらを丁寧に拾い上げて再解釈することで新たな発見があります。そのような活動は、同時に、主流派への理解を深めることにもなるのです。

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大正大学 地域創生学部 地域創生学科 講師 仲北浦 淳基 先生

大正大学 地域創生学部 地域創生学科 講師 仲北浦 淳基 先生

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経済思想史、経済学説史

先生が目指すSDGs

メッセージ

これからあなたは、学問をはじめ、さまざまな物事を「探究」するステージに入ります。この探究活動は、「問う」ことからスタートします。これまで当たり前だと思われていた事柄に対して「なぜ」「どうして」と、常に意識して問うてみてください。
自分の問いを口に出すことには勇気が必要なときもあるかもしれませんが、口に出さずとも、頭の中で問うだけでも構いません。その「問い」が次の学びへのスタートになり、それを繰り返すうちに世界の見え方が変わってくるでしょう。自分なりに「問う」ことに、ぜひチャレンジしてみてください。

先生への質問

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大正大学に関心を持ったあなたは

大正大学は大正15(1926)年に設立された、2026年に100周年を迎える伝統のある大学です。6学部10学科の学問分野で文学や心理、歴史、メディアなど、多彩な学びを展開し、地域社会に貢献できる人材を目指します。キャンパスは東京都豊島区にあり、池袋・巣鴨からもアクセスしやすい立地です。全学部が4年間を同じキャンパスで過ごします。また、1学年約1200名の学生に対し、教員は154名。教員1人あたりの1学年の学生数が7.8名と、教員との距離が非常に近いことも特徴です。