うわさ話やデマから金融危機が起きる! あなたの預金は大丈夫?

うわさ話やデマから金融危機が起きる! あなたの預金は大丈夫?

あなたは銀行にお金を預けていますか?

ほとんどの人はお金を銀行に預けます。その中で「普通預金」として預けるお金は、いつでも必要なときに引き出せるので「流動性が高い」形の資産です。一般的には、これは「要求払預金」と呼ばれ、銀行は預金者からの要求があったときには、いつでもお金を払い戻さなければなりません。預金者はいつでも引き出せる自由度を確保しつつ、利子を受け取れるメリットがあります。

銀行システムの脆弱性とは

一方、銀行は、たくさんの人々から集めたお金を、個人や企業に貸し出しています。預金者が毎日、どれぐらいの現金を引き出すのかは、確率論における「大数の法則」などから予想され、銀行は残りのお金の中から貸し付けを行います。しかし、このメカニズムでは、もし預金者の多くが信用不安などで預金を一気に引き出そうとすれば、銀行はお金が足りなくなり、最悪の場合、経営破綻にまで陥ってしまいます。この状態を「取り付け」と呼び、銀行システムの大きな脆弱(ぜいじゃく)性を示しています。

ある銀行の騒動が国全体に飛び火することも

過去には日本でも、ちょっとした会話の勘違いや、うわさ話で経営が危ないと広まってしまったり、近いうちに倒産するというデマが流されたりして、銀行の取り付け騒ぎになったことがありました。一方で「火のない所に煙は立たない」と言われるように、普段から何かしら経営不安を感じさせる状況が見られた銀行では、何らかのきっかけで取り付け騒ぎに発展するケースもあります。1つの銀行から始まった騒動が、ほかの銀行にも飛び火し、さらには国全体の金融システムを脅かす事態になることもありえます。
このような金融危機は世界中で起きていて、繰り返されています。しかし、いったい何が金融危機を引き起こすのか、どうして金融危機は波及するのか、政府はどのような対策を取ればよいか、といったことに対する答えは明確には出ていません。このような疑問に挑むのも、経済学者のひとつの大きな使命です。

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先生情報 / 大学情報

東京都立大学 経済経営学部 経済経営学科 准教授 松岡 多利思 先生

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メッセージ

大学で勉強する意義は、物事を客観視できる広い視野を持てるようにすることです。経済学は経済に参加している個々の経済主体のインセンティブを考え、世の中の経済現象の解明や良い社会のあり方を追求する学問です。私は学問的な視点から、金融危機の原因や規制のあり方などを研究しています。
将来、何をやりたいかわからない人は、誰かの伝記を読んだり、映画を見たりしてイメージをふくらませるといいでしょう。いろいろな人の歩みを知ると、どこかに共感する部分が見つかって将来のモデルになるはずです。

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