「日本の防衛」を科学技術と軍事から考える

AI活用が本格化したウクライナ戦争
2022年に始まったウクライナ戦争では、最新の兵器が数多く使用されています。ドローンを使った攻撃型無人機は何十万機の単位で使われていますし、AI(人工知能)による敵味方識別も本格化しました。極超音速ミサイルもロシアが初めて実戦に導入しました。また、人工衛星による敵情把握など、戦場は宇宙空間にまで広がっています。これからも、ますます軍事技術は高度化することでしょう。10年後には、人間の指揮を受けつつAIが攻撃するかどうかを判断して行動する自律型兵器が出現して、戦争の様相が一変している可能性もあります。
科学技術で防衛力を高める
日本は平和主義を掲げて専守防衛に徹する国です。ほかの国に攻め入ることはありませんが、ミサイルが飛んでくればいち早くとらえて正確に撃ち落とさなくてはいけません。最新鋭の兵器を持った敵がいつ侵入してくるかわからないため、それへの備えも大切です。さらに、サイバー攻撃はいま最も対応が急がれるものの一つです。このように科学技術で防衛力を高める分野は多岐にわたります。東アジアの緊迫の度合いが増すなか、どのように防衛力を高めるかについて、私たちみんなでしっかりと議論を進める必要があります。
インターネットも軍事技術として生まれた
一方、軍事技術の開発には、私たちの生活にメリットをもたらす面もあります。軍事と民生の両方に使える技術を「デュアルユース技術」と呼びますが、インターネットはその代表で、そもそもは軍事用として開発されました。AIの進歩も軍事が大きな役割を果たしています。また、過去に日本が行った戦闘機の開発では、炭素繊維が進化し、その後、民間での利用も進んだことで、航空機の燃費が大きく向上したのです。日本はいまイギリスなどと共同で、次期戦闘機の開発を計画しています。そこでも、私たちの生活を豊かにする技術が生み出されるかもしれません。
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