ITの活用が「業界地図」を塗り替える
ITによる変化
「業界」とは、企業が取り組んでいる事業やサービスの内容によって分類されるものです。例えば金融、メーカー、小売、マスコミなどの業界があり、これまでは同じ業界内の企業同士が売り上げなどを競ってきました。しかし、企業が経営にITを取り入れるようになった現在では、異なる業界から新たなライバルが出現するなど、業界の境界や構造そのものが変化しています。
ビジネスの枠組みを変革
例えば、小売業界の百貨店は、以前であればほかの百貨店とシェアを競い合っていました。しかし、今ではインターネット上のECサイトでも百貨店と同じような商品が買えるようになり、ECサイトが百貨店のライバルとなっています。一般消費財を中心に、これまでは、電車や車を使って店舗にアクセスできる居住範囲が商圏だと考えられていましたが、今や地球全体が商圏です。これはライバルが増えてシェアを奪われるリスクを示しているとともに、自らのビジネスを広げるチャンスともとらえられます。つまりITの導入は、単なる効率化を越えて、ビジネスの枠組みそのものを変革する結果となったのです。
社会課題の解決に
企業がITを有効に活用するためには、理系的な技術の知識と、マーケティングなどの文系的な経営の知識の両方が必要です。それぞれの専門家が協力するだけでなく、お互いの知識が重なりあうことでイノベーションが生まれます。さらにITの活用は、企業や業界の単位を超えて、少子化や人材不足といった現代の社会課題を解決に導くと期待されています。例えば、環境問題に対しては、ITを集積させて街全体をネットワークでつなぐ「スマートシティ」が既に実証実験に入っています。
これからは、「ITをいかに活用するか」が社会全体の成長と発展にとって重要な鍵となります。そのためには、ITが経営や社会に及ぼす影響を正確に分析して、そこから得られる知見を有効活用するための研究が重要なのです。
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