小惑星の衝突から地球を守れ!
地球に迫り来る小惑星
2013年2月、ロシアのチェリャビンスク州に、直径約17mの隕石(小惑星の破片)が落下しました。宇宙から秒速18kmで地球大気圏に突入し、上空で大爆発を起こしたときには、広島に落とされた原子力爆弾30個分以上のエネルギーがあったと言います。実は、このような小惑星の地球への衝突は、直径数10mほどの大きさであれば、およそ100年に1度の頻度で起きています。
小惑星「アポフィス」の危機
2029年4月13日に、小惑星「アポフィス」が高度3万kmまで地球に接近すると予想されています。高度3万6千km辺りには多くの静止衛星が周回していますから、これはすなわち、人類の活動圏内にアポフィスが侵入してくるということです。しかしこのときは、軌道の傾斜が異なるので、人工衛星や地球に衝突する心配はほとんどありません。ただし、アポフィスは2036年に地球に再接近すると予想されており、2029年接近時の軌道の変化によっては、地球に衝突するのではないかと危惧されています。人類の英知を結集して、衝突を回避しなければなりません。
小惑星衝突回避のためのアイデアと工学技術
小惑星衝突回避の方法として、「ロケットエンジンを取り付けて軌道を変える」「近くに質量のあるものを並走させ、その引力で軌道を変える」「爆薬や核兵器で破壊する」などの方法が世界中で研究されています。その中で、秒速10kmの超高速で物体を小惑星にぶつけ、軌道を変更するアイデアが注目されています。これは、「はやぶさ2」に取り付けられた「インパクタ」という衝突装置を応用するものです。インパクタは、直径2kgの銅の塊を小惑星にぶつけて表面にクレータを作り、物質を採取するために開発されましたが、この装置を大型化すれば、小惑星の軌道を変更できると考えられるのです。現在は、ぶつける物体の大きさや形状、速度などによって、小惑星の軌道がどのように変化するのかという実験が行われています。
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先生情報 / 大学情報
九州工業大学 工学部 宇宙システム工学科 教授 赤星 保浩 先生
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