世の中をもっと便利にするコンピュータ・アルゴリズムの研究
高性能化のカギを握るアルゴリズムの工夫
コンピュータは、1940年代に誕生してから今日まで、驚くべき速さで進化してきました。進化の理由は、ハードウェアの改良や通信速度の向上だけではありません。ソフトウェアに組み込まれた「アルゴリズム(計算手順)」も、コンピュータの高性能化に大きく貢献しています。膨大なデータがあふれる現代では、情報処理の時間をできるだけ短くするために、アルゴリズムの設計を工夫することが求められます。処理時間の短縮は、省メモリや省エネにもつながるのです。
目当てのトランプを効率よく探す方法は?
例えば裏返しに置かれているトランプの中から、目当ての1枚をできるだけ効率よく探す方法を考えてみましょう。カードをめくるのは1枚ずつで、そのカードは、次をめくる前に必ず元通りに裏返さなければならないとします。
まず考えるのは、カードの並べ方です。ハートやスペードなどのマークごと、数字順に規則正しく並べます。そうすることで、真ん中にあるカードを1枚取り出し目当てのカードとの大小を比べれば、次に探す対象を半分に絞ることができます。データが1000個あるとしたら、500個→250個→125個と探す範囲を狭めていけば、1個ずつデータを確認するよりも速く見つけることが可能なのです。Googleなどのインターネットサイトで検索する場合も、この考え方をもとにしたアルゴリズムが使われています。
限られた時間の中で最適な答えを探す
これまで人間が経験をもとに答えを出してきた問題にも、コンピュータを使い、限られた時間の中で最適な解を出そうと、アルゴリズムの研究が行われています。その成果は、例えば電車の乗り換えルートの検索や、カーナビ、スマートフォンの基地局の設置、施設予約などのスケジューリング、店舗の出店計画など、身の回りのさまざまなものに利用されています。アルゴリズムとは、世の中をもっと便利にするための技術なのです。
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九州工業大学 情報工学部 知能情報工学科 教授 宮野 英次 先生
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