自動車に頼りすぎると、街が衰退する?
自動車に対する意識の変化
かつて自動車は若者の憧れでしたが、価値観が変わってきました。都市部の若者には、自動車に乗ることを「カッコイイ」と思わない人が増えているのです。都市では鉄道が発達していますし、駐車場などの費用もかかります。また健康志向が強いこともあり、自動車に乗らずに歩く方が健康にいいと認識されています。さらに自動車が出す排気ガスが、地球温暖化の原因となることも、社会全体として自動車をできるだけ減らそうという動きに拍車をかけています。
街の賑わいを保つための都市計画
地方ではまだ自動車に頼った生活をしています。しかし、自動車を中心とした生活が、街を衰退させることを多くの人が気づき始めています。自動車で移動すると、行き先はどうしても郊外の大型店舗になります。その結果、大型店へ向かう道では渋滞が発生し、逆に街の中心部では人が減り「賑わい」がなくなってしまいます。郊外を含めた広い範囲に人が移動するので、行政にとって「まちづくり」の観点からは費用がかかります。
そこで、例えば富山市などでは街の中心部に人が集まり、賑わいを保つような都市計画が進行しています。その切り札が、次世代型路面電車システムであるLRT(Light Rail Transit)の導入です。重量が軽く加速スピードが速いので、旧来の路面電車よりも移動のスピードアップが可能です。自動車を使わずLRTで街の中心に人を集め、賑わいを保とうとしているのです。
未来の交通情報を提供する
自動車偏重の社会はすぐにはなくならないので、避けて通れないのが交通渋滞です。特に事故や工事などで車線規制をしている場合には交通情報の提供が重要になります。しかし、一般的に提供されているのは、「現時点」の渋滞情報です。もし、「何分後には渋滞は解消する見込みだ」という情報を提供すれば、これからどの道に進めばいいかがわかり便利です。街の交通をスムーズにするためには、過去のデータを分析して未来を推測する情報が有効なのです。
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先生情報 / 大学情報
徳島大学 理工学部 理工学科 社会基盤デザインコース 教授 奥嶋 政嗣 先生
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