10年以内に日本を再び地震が襲う!? 震災からの復興と備え

10年以内に日本を再び地震が襲う!? 震災からの復興と備え

震災からの復興に貢献

2011年3月11日の東日本大震災で、日本は大変な被害を受けました。復興を遂げるためには、国土計画、経済、環境、地域社会、エネルギー、交通、土木、教育、人々の心理など、あらゆる面を総合的に考えなければなりません。どれか一つを部分的に考えるだけは不十分なのです。
多岐にわたる研究を行う地球工学は、これらのすべてに関わっています。そのため震災後は、中央防災会議との交流や国会の公聴会での提案など、復興に向けた取り組みにおいて活躍の場が広がっています。

過去の大地震と今後の予測

過去2千年間に東日本で起こったマグニチュード8以上の地震は、869年、1611年、1896年、1933年と4回ありました。このうち869年の貞観地震の後、悪霊退散の願いを込めて鉾(ほこ)を立てたことが、京都祇園祭の起源だと言われています。この貞観地震を含む4大地震の、それぞれ前後10年以内に首都直下型の大地震が起こっています。また西日本でも4回の大地震のうち3回、近い時期に大地震が発生しました。このように地震が活動期に入ると、東日本、首都圏、西日本に連動して地震が起こる可能性は非常に高いと考えられています。

列島強靭(きょうじん)化計画

震災からの復興、そして今後の危機に備えて、日本は「強靭」にならなくてはなりません。致命傷を避け、被害を最小にとどめ、回復力を身につけることが必要なのです。
その策として、建物の耐震強化、防災教育の徹底、地域の活性化、エネルギーシステムの強化、緊急時の企業運営計画の策定、避難や救援を想定した交通網の整備、GDP(国内総生産)の維持拡大など、さまざまな取り組みが挙げられます。
また、日本のGDPの70%を占める東京・名古屋・大阪エリアから、都市機能を分散させることも課題の一つです。大都市は新幹線の路線上に形成される傾向があるので、新幹線などの交通網を整備することが効果的だと考えられます。都会の過密がなくなり、地方が豊かになることで、国土全体が強靭になるのです。

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京都大学 工学部 地球工学科 土木工学コース 教授 藤井 聡 先生

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地球工学

メッセージ

大学という場所は、高校までのように教科書に書かれていることを勉強するだけの場所ではありません。歴史の中のあらゆる天才たちを含めた先人の偉業を一生懸命勉強しつつ、世の中の真実を真摯に追い求め、世の中にとって何が一番いいことなのかを誠実に考え、その方向に世の中が変わっていくためには何が必要とされているのかを真剣に考え、その方向に役に立つ「研究」を真面目に深めていきます。それが、大学に課せられた使命です。ぜひ、しっかりと勉強をして京都大学に入って、大学でしかできない本当の学問を追究してください。

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京都大学は、創立以来築いてきた自由の学風を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、自由と調和を基礎にして基本理念を定めています。研究面では、研究の自由と自主を基礎に、高い倫理性を備えた研究活動により、世界的に卓越した知の創造を行います。教育面では、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、教養が豊かで人間性が高く責任を重んじ、地球社会の調和ある共存に寄与する、優れた研究者と高度の専門能力をもつ人材を育成します。