ニホンミツバチから、社会、環境、自然を学ぶ

ニホンミツバチから、社会、環境、自然を学ぶ

地域の自然環境と共生する、循環型の営み

ミツバチは自然界の植物から蜜を集め、その蜜で子どもを育て、自分たちのコミュニティを形成・維持しています。また、蜜を求めて飛び回る過程で、植物の受粉(交配)を促し、野菜や果樹などの実りをもたらします。
そのうち「ニホンミツバチ」は日本の在来種で、一定の地域を行動範囲とし、その土地の動植物と恵みを分かち合い、共生しながら生活しています。植物という資源をムダなく有効に活用すると同時に、その資源の再生産もするニホンミツバチの営みは、環境に負荷の少ない「循環社会」のお手本と言えます。

集団で合議し行動する、民主的なコミュニティ

ニホンミツバチは新旧の女王蜂が巣分かれする時、「探索バチ」が新たな土地を探し、得た情報をダンスのような飛び方で仲間に伝えます。そして、みんなの同意を得られれば、新しい巣へと移動していきます。さらに、天敵である大スズメバチに対抗するため、集団となって1匹の敵を球状に囲み、熱死させるという戦略を使います。このように、ニホンミツバチは課題や問題に対して、全員の合議で決定し、集団で力を合わせて解決していくという民主的な社会を形成しています。

人と自然、人と人をつなぐ、多様な可能性

近年、ミツバチの数は世界的に減少しており、農作物などへの影響が危惧されています。この現象は人間の営みに原因があると考えられています。人間の営みについては、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会から、限られた資源を持続可能な形で循環利用する「地球1個分の暮らし」への転換が提唱されています。
ミツバチは自然環境の変化を示唆し、人間の社会や暮らしのあり方に多くの気づきを与えてくれます。そして、ミツバチから環境や社会を学んだり、飼育し採取した蜂蜜で地域の活性化を図ったりする取り組みも行われています。人と自然、人と人をつなぐ媒介となっているミツバチは、多様な可能性を持った研究対象としても注目されているのです。

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先生情報 / 大学情報

追手門学院大学 地域創造学部 地域創造学科 准教授 今堀 洋子 先生

追手門学院大学 地域創造学部 地域創造学科 准教授 今堀 洋子 先生

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地域創造学

メッセージ

地域創造学部は、2015年4月に創設された新しい学部です。そこでの学びのひとつが、ニホンミツバチからさまざまな気づきや学びを得て、自分たちに何ができるかを考える「ミツバチプロジェクト」です。このプロジェクトでは、ミツバチをキャンパスで飼い、様子を見守ったり、巣箱を作ったり、蜂蜜の採取も視野に入れながら活動しています。その様子を紙芝居にするなど、ミツバチを中心に地域、自然、人がつながり、プロジェクトはどんどん広がっています。ミツバチを「先生」とし、一緒に楽しく学んでいきましょう。

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