アフリカの森林減少を食い止めるために、すべきこととは?

アフリカの森林減少を食い止めるために、すべきこととは?

森林減少が急速に進むタンザニア

アフリカの東部、インド洋に面したタンザニアは、キリマンジャロやセレンゲティ国立公園など、豊かな自然で知られる国ですが、実は、森林面積の減少が著しい国の1つでもあります。アフリカの広大な森林が急速に減少すれば、その分、温室効果ガスの吸収量も減るため、気候変動防止の観点からも、タンザニアの森林減少は、大きな問題です。

生きるために森を切る最貧国の住民

タンザニアで森林が減少し続けているのは、開発が進んだ結果のみならず、生きるために木を切らなければならない状況があるためです。タンザニアは、1日1.25ドル以下で暮らす人の割合が88.5%と、世界の中でも最貧国の1つです。一般に、貧しい国では、働き手の確保、幼児死亡率の高さといった理由から、子どもをたくさん産みます。タンザニアでも一家に7、8人子どもがいることも珍しくありません。爆発的に人口が増えれば、新たな居住地や農地を開拓しなければならず、その結果、森林の伐採も増えるのです。

現地の抱える問題に沿った環境対策を提案

こうした状況下で、貧しい人に「気候変動防止のために、森林を伐採するな」と言っても、その声はなかなか届きません。それよりも、森林伐採の背景にある貧困問題や人口増加問題とも向き合いながら、森林の減少のスピードを抑えるために、何をすべきかを考えることが必要です。気候変動対策を実効性のあるものにするためには、現地調査を行い、現地で起きている事象をきちんと把握した上で、現地にふさわしい森林保全のあり方を地域住民や事業者、政府とともに考えていくことが求められます。
加えて、現地の人の言葉を国際的な政策への提言といった形で世界に発信することも必要です。社会的弱者である地域住民の声は、国際交渉の場にはほとんど届かないため、研究者がその声を拾って世界に発信していくことが、貧しい国の人々が抱える問題に世界が目を向け、地球環境を守るために何が必要かを考える1つのきっかけともなるのです。

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先生情報 / 大学情報

亜細亜大学 国際関係学部 国際関係学科 准教授 福嶋 崇 先生

亜細亜大学 国際関係学部 国際関係学科 准教授 福嶋 崇 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

国際関係学、環境学、開発学、地域研究

先生が目指すSDGs

メッセージ

あなたは途上国の農村部に行ったことがありますか。私は、大学に入ってから、フィジーやタンザニアなど、世界各地の農村でフィールドワークを行ってきました。村の人たちと一緒に寝起きし、同じものを食べる生活をするなかで、日本とは全く違う価値観に触れ、さまざまなことを学びました。
大学に行くということも、実は、とても恵まれたことなのです。そのことを十分に自覚した上で、大学に入ってきてください。その上で、その貴重な機会を生かし、ぜひ、いろいろな国に行き、自分とは違う価値観に触れ、自分の視野を広げてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • なぜ環境政策学を学ぶのか

亜細亜大学に関心を持ったあなたは

亜細亜大学では「多様な夢に挑み、アジアの未来に飛躍する創造的人材」の育成をめざし、5学部8学科の学士課程教育、国際教育、キャリア教育と軸とした教育体制を整えています。
さらに2023年4月にデータサイエンスと経営学をつなぐ画期的な学びを提供する「経営学部データサイエンス学科」を開設。初年次教育やゼミナールの必修化、留学制度、副専攻制度など、学生一人ひとりの興味・関心に合わせて、柔軟で広い視野を獲得するための多彩な学びを実現するカリキュラムを構成しています。