ミツバチからロボットまで パターン認識でコミュニケーションを探る
知能に欠かせないパターン認識
赤ちゃんが物事や言葉を理解できるようになるのは、それぞれの共通点や特徴を少しずつ分類して考えているからです。同じようにAI(人工知能)も画像を見て、画像内の特徴をパターン化して何が写っているのかを判断します。こうしたパターン認識は知能の基礎だと考えられており、さまざまな分野の研究に役立っています。例えばミツバチの行動分析です。
ミツバチの動きを認識する
ミツバチは何千匹もの個体が同じ巣で生活し、掃除や餌の採取など役割分担をして働いています。お互いの仕事を円滑に進めるために重要になるのがコミュニケーションです。ミツバチは8の字ダンスなどの行動を言葉のように使っていると考えられています。それを実際に調査するとなると、従来は人が目で見て記録をつけていましたが、コンピュータで自動化できればその膨大な手間を削減できます。AIによるパターン認識を用いれば、録画した画像から特定のミツバチの行動を追跡することが理論上は可能だからです。スマートフォンに搭載されたカメラの顔認識機能のように、パターン認識を使ってどこにミツバチがいるのかを検出し、その行動を追跡することができます。
しかしミツバチの画像認識は前例がほとんどなく、パターン認識のためのデータも不足しています。また、ミツバチは1枚の画像の中に何百匹も写っているため、1匹ずつ正確に見分ける技術も必要です。精度の高い検出を行うため、情報収集や研究が行われています。
人間のコミュニケーションを再現する
パターン認識は、機械が人間とコミュニケーションをとるための技術開発にも役立ちます。その一環として、音声を加工して聞き取りやすくする研究が行われました。人間は年をとると周囲の音声を聞き取りにくくなります。特に聞こえにくい摩擦子音、母音のあとの子音などをパターン認識すれば、聞き取りやすい音になるよう自動で加工することが可能です。この技術を応用すれば、お年寄りと会話ができるロボットの開発に一歩近づくと考えられています。
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福岡大学 工学部 電子情報工学科 教授 髙橋 伸弥 先生
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