数学を活用して経営や現代社会の問題を解決しよう!
現代社会の問題を数理モデル化し最適解を導き出す
世の中には、さまざまな種類の企業が存在し経済を形成しています。それぞれの企業や社会ではいろいろな問題を抱えています。
「利益の上昇」「コストの削減」「時間効率」「使用する材料の分配率」など、その企業に適した条件を設定し、諸々の問題に対して、数学などの理系の力を用いて問題を解決しようというのが、応用数学の「最適化理論」、「数理計画」、「ゲーム理論」とよばれる分野です。事例を挙げて説明しましょう。
経営戦略を数学で解く
秋田市立図書館のサービスの一環である移動図書館の巡回の最適なルート設定が問題となりました。「利用率」「人口集中度」「移動コストの効率化」など、あらゆる問題を数理モデルに置き換え、最適化理論の手法を用いて最適なルートを導き出し巡回ルートが設定されました。ほかにも、総合病院の看護師のシフト作成や、バス会社のルートの作成など、最適化理論で解決できるジャンルや事例は多岐にわたり、多くの実績があります。このときに最も熟考を要するポイントが、目的に設定された事柄について数理モデル化しどのような条件が関与するのか、そしてその最適解を導き出す数学の手法や理論はどんなものになるのか、その設定ひとつで、精度が大きく変わるため、慎重さと根気が必要な手順です。
多段分割問題の最適解とダ・ヴィンチ・コード
もうひとつ例を挙げましょう。ある企業が食品を大量に保管しなければならないケースで、いくつの倉庫にどのくらいの分量を保管するのが最も経済的で効率的かという問題を「多段分割問題」と言います。このテーマの最適解がすべて、1、1、2、3、5、8、13……のように、直前2つの数字の和が次の数を成す数になることが明らかになりました。これはダ・ヴィンチ・コードにも表れる数列でフィボナッチ数列とよばれるものです。多段分割問題は保管以外にもさまざまな場面で利用可能な問題であるだけでなく、「最適な解」は「美しい解」でもあることから多くの注目を集めています。
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先生情報 / 大学情報
秋田県立大学 システム科学技術学部 経営システム工学科 教授 木村 寛 先生
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