「きゃりーぱみゅぱみゅ」と「中小企業」の経営戦略の共通点とは?
経営学は未来志向の学問
分野が多岐にわたる経営学ですが、中小企業を対象にした研究も活発に行われています。企業規模こそ大きくはないものの、技術力、発想力、柔軟性、スピードを生かし、日本国内のみならず海外進出を果たしている企業も少なくありません。そういった企業のトップ(経営者)に話を聞きデータを蓄積・考察することで、現在の中小企業をとりまく状況やトレンドを解き明かすことも経営学の研究の一分野です。
中小企業とアーティストの類似点
若い世代を中心に人気を集めるアーティスト「きゃりーぱみゅぱみゅ」の海外進出は、実は中小企業の海外進出の戦略と似通っている部分があります。レディー・ガガやテイラー・スウィフトを世界的大企業に、そして海外進出以前のきゃりーぱみゅぱみゅを中小企業に例えてみましょう。大企業の得意分野にバッティングしないよう、中小企業は独特の付加価値や存在感を出すことで新たなファンやユーザーを獲得しなければなりません。きゃりーぱみゅぱみゅの場合、それがポップなコスチュームであり原宿文化の発信だったのです。一見、なんの共通点もない中小企業とアーティストの戦略ですが、そこには共通する戦略が読み取れるのです。ニッチ(隙間)市場へのアプローチとSNSや動画サイトを駆使して海外進出を果たすケースは業界を問わず確実に増えてきています。
地方の企業の課題と可能性
海外でも活動する中小企業の多くは大都市に集中しています。東京をはじめとする大都市は地方に比べ、情報感度、目的意識が非常に高いことが要因として考えられています。一方で、イノベーションが起こりにくい環境にある地方は大きく遅れをとっているのが現状です。しかし、地方には地方の可能性も眠っています。その1つが地産食材のブランド化です。農業や水産業などの1次産業が、食品加工・流通販売にも業務展開している、いわゆる「6次産業」の分野です。日本で自社のポジションを確立した上で、新たなる市場拡大につなげられれば、地方からの海外進出という例も増加するでしょう。
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先生情報 / 大学情報
岩手県立大学 総合政策学部 総合政策学科 教授 近藤 信一 先生
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