企業をうまく運用する「内部統制」について考える
内部統制とは
世の中のあらゆる組織には、その内部をうまくコントロールするための仕組みがあります。例えば、企業ではわずかな商品を仕入れる際にも、一定の手順を踏みます。まずは業者向けの「発注書」を作成し、内容を複数人でチェックして発注します。商品が届いた後は、同封されている「納品書」と商品の種類・数に相違がないかをチェックし、さらに「請求書」の内容とも照らし合わせて、間違いがなければようやく支払いを行います。会計学の分野では、こうした一連の仕組みのことを、「内部統制」といいます。
信用を与える監査
企業は1年に1度「決算」を行う義務を負っています。決算とは、自社のお金の使い道や残高といった財務内容を社会に対して報告する手続きです。そのため、内容に不備があれば信用を失います。決算報告書の作成はその企業に任されていますが、第三者の立場からその内容をチェックして、信用に値することを証明するプロセスを「監査」といいます。監査は、主に公認会計士が行います。もともとは年間のあらゆる取引をチェックしていました。しかし、企業活動が拡大し、内容も複雑になってきた現代では、その企業の運営実態に合わせて内部統制の仕組みを利用し、その企業が特に重点を置き、決算への影響も大きい事柄を中心にチェックするようになりました。
企業の変化に合わせて
かつては、あらゆる取引や社内でのやりとりに紙の書類が用いられていましたが、IT化が進んだ現在は、データが用いられるケースが増えてきました。例えばある事柄について会社の決裁・承認を得る「稟議(りんぎ)書」も、ペーパーレス化が進み、社内ネットなどで完結するようになりました。しかし監査をする上では、誰が、どういう順で承認したのかといった内部統制のプロセスを、正確に記録しておかなければなりません。時代ごとの企業活動・運営の変化に合わせて、監査のあり方について考え、その成果を監査業務や内部統制の実践の場に生かしていくことは、会計学や監査論といった学問のもつ大切な役割なのです。
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先生情報 / 大学情報
大阪産業大学 経営学部 経営学科 教授 松本 尚哲 先生
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