成功は失敗の母? ヒット商品を生み続けるために必要なこと

成功は失敗の母? ヒット商品を生み続けるために必要なこと

短期的なヒットを連発させることが重要な時代へ

何年にも渡って売れ続けるロングヒット商品を生み出すことができれば、企業は大きな利益を得ることができます。しかし、競争が激しく、新商品が次々と登場する現代は、ヒットが長続きしない時代です。そのため、ロングヒット商品を生み出すことに力を注ぐのではなく、短期的なヒット商品を連鎖的に生み出していくことに力を注ぐべきであるという新しい考え方が、企業や研究者の注目を集めています。しかし、その実現は簡単なことではありません。それはなぜでしょうか?

成功は失敗の母?

成功した人が過信や慢心をしてしまった結果、その後の選択を誤ってしまい、最終的には失敗してしまうというような話は、童話や歴史の中に数多く存在します。実は、企業にも同じような傾向があることが、これまでの研究で示されています。例えば、商品をヒットさせるといった成功体験をした企業は、今回上手くいったやり方を過大に評価し、新しいやり方を過小に評価する傾向があります。その結果、周りの環境が変化しても、環境の変化に合わせて自分たちのやり方を変更することができず、気づくと時代遅れの企業になってしまうのです。「失敗は成功の母」という言葉がありますが、実は「成功もまた失敗の母」なのです。短期的なヒット商品を連鎖的に生み出していくためには、成功がもたらす過信や慢心を企業の中から排除する必要がありますが、それは容易なことではありません。

客観的な視点で企業の戦略を考える

ある企業の成功は複雑な条件が絡み合って生まれた結果であり、その企業の一部分だけを真似したからといって成功できるとは限りません。成功条件を正しく理解するためには、複数の企業のデータを収集・分析して、成功企業の共通条件を探っていくことが必要になります。その役割を担うのが経営学者であり、得られた知識の体系が経営学なのです。あなたが経営学を究めれば、客観的視点で企業の現状を捉えることができ、企業を成功の罠から救うことができるかもしれません。

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専修大学 経営学部 ビジネスデザイン学科 准教授 中村 世名 先生

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メッセージ

学問とは、「既知の正解を覚える」活動ではなく、「未知の正解を探す」活動です。経営学にも、正解が未知の問題が数多く存在します。さらに経営学では、環境の変化に伴って、昔は正解とされていたことが今は間違いになってしまうこともあります。そのような経営学を究めようとする学生には、先生の説明や教科書の内容ですら鵜呑みにはせず、「それって本当に正しいのだろうか」と立ち止まって考える姿勢が求められます。あなたも、経営学の世界に飛び込み、既知の正解を疑い、未知の正解を探してみませんか?

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